チーム力があれば指揮者はいらない
【田原】ところで、吉田さんは、クラウドソーシングが個人の働き方を変えたという。どういう意味ですか。
【吉田】クラウドソーシングによって、個人の働き方の選択肢は大きく増えました。それから、個人が信用を積み重ねやすくなったことも大きい。これまではフリーランスの人はクレジットカードや住宅ローンの審査で落ちることが多かった。しかし、企業に帝国データバンクがあるように、個人としての実績を評価して可視化する仕組みがあれば、個人も法人と同じように信用を得られるはずです。クラウドソーシングは21世紀の個人の信用インフラになりえます。
【田原】もっと具体的に聞きたい。信用が蓄積して可視化されると、働き方はどう変わりますか。
【吉田】たとえば子育てや介護で退職し、その間にクラウドソーシングで仕事をしたとします。再就職したくても、従来なら退職中にやっていた仕事は把握しづらく、実績として認められにくい現実がありました。しかし、クラウドソーシングなら個人としての信用が貯められて、企業側にもアピールしやすい。こうして正社員に復帰するケースがあたりまえになれば、フリーランスだけでなく、会社に勤めている人の働き方も多様化するのではないかと思います。
【田原】クラウドワークスの次なる目標は何ですか。
【吉田】数値目標でいえば、今後20年で営業利益1兆円を目指しています。孫正義さんのソフトバンクは33年で営業利益1兆円でしたが、それを20年でやってみたい。もう一つのテーマはチーム経営。ワンマンではなく、一人一人の力によって営業利益1兆円を達成したいです。