恋愛、セックス……老いてなお人間だもの

30年近く集団お見合いの世話をしてきた斉藤会長は会員男女の思いの違いをこう指摘する。

「伴侶を求めるのは老後の生活不安や孤独感がありますが、当然、性の問題もあります。男性は8~9割が性にこだわりますが、女性は性抜きの交際を望む人も多い。結婚までいかなくても好きな男性ができると心が華やいで若返り、不思議なことにシワが少なくなりきれいになるのがわかります」

太陽の会ではパーティーに参加して交際にまで発展するのは5、6組。結ばれるカップルの割合は2開催に1組ほどだという。独身の中高年の間で好きな相手でもつかず離れずの「緩やかな絆」を支えにした生き方が広がっていることを反映して、「ゴールインしても3割は“別居伴侶”などの事実婚」(斉藤会長)だという。

老いてなお、新たなパートナーを探そうとするのはなぜなのか。高齢者の性に詳しい日本メンズヘルス医学会理事長で札幌医科大学名誉教授の熊本悦明氏が説明する。

「人間も生きもの。その生きものとしてのバイタリティーがあれば、恋愛もでき、セックスもできます。スキンシップをすることで安心感を得られるのは、QOL(生活の質)のかけがえのない重要な要素だからです。『生きている』と生存認識をするのです」

(飯田安国=写真)

50歳時点で1度も結婚経験のない人の割合を示す生涯未婚率は男性で2割、女性も1割を超えた。夫の定年を機に別れる「熟年離婚」も増えている。日本性科学会セクシュアリティ研究会の調査(2003年)によると、独身の60代男性の60%、70代で49%、60代女性では31%、70代で13%が交際相手がいると回答している。同調査の40~70代全体で、「お付き合いする相手を欲しい」と思っている人のうち、男性は「性交渉を伴う愛情関係」が68%と多いが、女性は「精神的な愛情関係」が52%と半数以上を占める。

高齢になって恋愛する意味について、この調査を行った田園調布学園大学元教授の荒木乳根子氏はこう説明する。

「仕事やパートナー、子どもなど多くのものを獲得する若いころとは異なり、定年を迎えた中高年は仕事を失い、子どもの独立や配偶者との死別など『喪失期』に入ります。社会から必要とされなくなるなかで、自分を1番に思ってくれるパートナーを得ることで、生きがいを強く感じられるのです」

パーティーに参加した60代後半の男性は、「今から渋谷で開く見合いの合コンに顔を出す」と打ち明け、「パートナー探しは人生の残り時間との勝負です。特に夜、1人でいるのは寂しい。セックスのことも考えますよ。月に1、2回は若い娘と踊れるサルサバーやガールズバーにも飲みに行きますが、なかなか気に入り、気に入られる女性とは出会えません」と嘆く。

(飯田安国=写真)
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