効果的な5つの“聞く”トレーニング
話術を磨くばかりでなく、聞くためのトレーニングを見て行こう。
1.沈黙:静かな状態で耳を澄ます
1日3分の無音エクササイズ。耳をリセット-チューニングしてくれる。完全な無音である必要はなく、静寂の中に身を置くだけでいい。
2.ミキサー(雑音):雑音の中で音を聞き分ける
カフェなどのにぎやかな場所で、雑多にまじりあった音の中から、単一の音源がいくつあるかを聞き分ける。(例)コーヒーサーバー、水道の流れる音、スマートフォンのキータッチ、会話……など。これは、自然の中では鳥の鳴き声、水の流れる音、木の葉のざわめき、などでも可能だ。
3.鑑賞:ありきたりな音を楽しむ
回転式乾燥機の音に3拍子のワルツを感じたり、シュレッダーの刻む音にリズムを探したりと、ありふれた音も注意して聴いてみる。
4.リスニングポジション(聴く位置): 聴き取る対象に合せて一番適切な場所に ポジションを移動する
自分の中で音や情報を取捨するフィルターを使い、場所を変えていく。
5.RASA:受信、尊重、要約、質問の頭文字
Receive(受信)話者の話を注意深く聴く/Appreciate(尊重)「わかった」と意思表明をする/Summarize(要約)「こういうことですね」とまとめる/Ask(質問)質問をしていく。
前述した内容と若干重なるが、これはリスニングだけでなく、相互のコミュニケーションにも生きる“聞く”ためのトレーニングとなるだろう。
相手の話を真摯に聞くことは、相手を認めることにつながっていく。自分を認めてくれた人間とは信頼関係が築きやすくなるため、より説得に有意な関係が生まれるようになる。対面で人を説得するためには、自分から一方的に話を伝えるばかりでなく、まずは人の話をしっかりと聞き、相手を理解し、信頼関係をつくること。これで、より説得の効果が高まり、成果をあげられるだろう。
[脚注・参考資料]
Julian Treasure, 5 ways to listen better, TED, Filmed Jul 2011
http://www.ted.com/talks/julian_treasure_5_ways_to_listen_better