あとは実践! 既存のものからイノベーションを
5つのテクニックがわかったら、次はそのヒナ型を活用する練習が必要だ。実際にヒナ型を使った思考を実践し、インサイドボックスの考え方を身に付けよう。
「まず目新しいものに注目し、それがどのようにして発明されたのかに注意を払います。そのとき“どうして自分で思いつかなかったんだ!”と感じるような発明を選ぶほうが効果が高いのです」と、ゴールデンバーグ氏は言う。そうした発明が行われる過程で生かされたテクニックを想像し、発明のプロセスを脳内でシミュレーションする。
また、身の回りにある、ありきたりのものを選び、それにイノベーションのテクニックを用いたらどうなるかを想像することも有効だという。どのテクニックを使えば、その製品なりサービスなりを改良できるかを脳内でシミュレーションするのだ。
5つのテクニックのいずれかをランダムに選んで、いま自分のまわりで進行中の物事にあてはめる、という方法もある。例えば空港でセキュリティチェックを受けているときに、そこに関数のテクニックを応用して2つの変数が連動するとしたら、物事はどのように効率化するか、といったことを考えるのだ。例えば、セキュリティチェックの担当者のスキルによって列に並ぶ時間が変わるとしたら、それと乗車料金を連動させられないか、といった具合だ。
「こうした取り組みは1人だけでなく、チームで進めるとより効果を発揮する」と、ゴールデンバーグ教授。ぜひ、インサイドボックス思考法の実践にチャレンジしてみてほしい。
エルサレム・ヘブライ大学を経て、IDCヘルズリヤ大学教授、コロンビア大学ビジネススクール客員教授。マーケティング学を専攻し、理論面でインサイドボックス思考法を構築。