同じメンバーでチームを継続する利点

一番成績が悪かったのは――MBAホルダーたちだ。彼らはまず課題と目的を確認して1つのゴールを設定し、リーダーとなる主導権争いをし、そこから計画と準備に時間を割く。すると、うまくいくと思われた計画が、最後のマシュマロ1個でパタリとつぶれ、再度組み立てる時間が充分にとれない。何がダメかがわかる試作品からフィードバックを得られないため、結果としてうまく機能しないのだ。

ほかの結果としては、建築家は構造をよく知っているぶん制作はまずまずで、CEOたちは、チームの管理責任者を置いたとたんにうまくいくようになるという。全体を見回したときに「あそこが勝つな」とわかるのは、管理役の人が存在するときだ。ひとりが全体を運営するファシリテーターとしての技能を持ち、作業を注意深く観察・管理することで、パフォーマンスを大幅に向上させられるから。ここでは、特殊技能とファシリテーションの技能、そしてその組み合わせが、大人にとっては成功へのカギとなるようだ。

では、4カ月後にあるチームに同じゲームの演習をするとどうなっただろう。今度は試作品をつくることの重要性を理解して、トップクラスの成績を残すチームになり、最小限の時間で最も高い建造物をつくったという。参加者は、ひとつの目標に向けて気持ちと行動をあわせる方法を学び、より良いチームワークについて考え直していく。さらには適切な試作をするために、共通の体験を通して、共通の言葉や態度を築きあげ、意思疎通も楽になり、信頼感も増す。これが、ひとつのチームを束ねて継続する利点だろう。

こうしたマシュマロタワーをつくるときの目標は明確だ。では、私たちが日常的にプロジェクトなどに取り組むときや、全員が賛同しているわけではないときは、どうだろうか。ある実験を見てみよう。