年上の社長の親友や経営の師匠がいるか?

よく、社長なら社長同士のつながりを作ったほうがいいと言われるが、私はぜひ年上の社長の親友を作ることをおすすめしたい。それも、10歳以上年上の社長の親友だ。現在30歳前後の後継者で、今そういう人が一人もいないというのなら、すぐにでも作ってもらいたい。

私にも、日本経営合理化協会に入協以来仲良くしていただいている社長がいる。もうかれこれ15年近くのお付き合いになるが、その社長に多くのことを教えていただいた。

私も社長も顔が広いので、地方のお客様の会社を2人でよく見学しに行ったりするのだが、そのときの様子を見ていて、社長の気配り、手配り、心配りなどに気づかされる場面が多々ある。

持って行く手土産はもちろん、一番すごいと思ったのは、帰りの新幹線の中でお礼状を書き上げ、新幹線を降りた瞬間にそのお礼状を投函することだ。さらに、一緒に見学に行った次の日に電話がかかってきて、「あそこの社長の奥様は蟹が好きだと言っていたから、札幌の知り合いに電話で手配して、連名で送っておいたから」と言うのだ。その細やかで素早い行動に、私は本当に感銘を受けた。

私は同じ年代の後継者の友人も数多くいるが、同じ年代の後継者だと確かに話は合うし、一緒に飲んでいて面白い。しかし、同世代同士では、お互いに教え合えることがそれほどあるわけではない。

それが、10歳以上年上の人になると、いろいろと細かい気配り、手配り、心配りを教えてくれたり、ときには「こういうふうにしなきゃダメだ」と注意してもらえることもある。同世代同士では言いにくいこともはっきり言ってくれる。“上から目線”になっていることに自分では気づかなくても、それを諭してくれる。まさに後継者の人間の幅を広げてくれる存在なのだ。

ぜひ、そういう自分を高めてくれる年上の親友というのを作るように心がけてほしい。「そんな簡単にできるのか」と思うかもしれないが、難しく考えなくていい。セミナーや研修、海外視察などに行くと、気の合う人というのが必ず数人いるはずだ。躊躇せずにそういうところに飛び込んでもらいたいと思う。

自分自身を成長させてくれる存在として、“経営の師匠”となる人を見つけることも重要だ。「師匠となる人を3人作れ」という話を聞いたことがあるかもしれないが、私には5人の師匠がいる。それぞれの師匠からは、財務、理念、営業、哲学、人を学んだ。この5人に私は今でも師事していて、繰り返し話を聴くようにしている。

経営について、書籍やセミナーを通して学んだと思っていても、やはりその道を究めた人に直接教えを乞うことを続けることが重要だ。「自分はなんでも知っている」と“上から目線”にならず、師匠のもとでの学びや気づきを得る体験を継続して行ってもらいたい。

親友に師匠と、気づけば“上から目線”になりかねない後継者には、悪いところ、直すべきところをしっかり指摘してくれる存在、いくつになっても手本にしたいと思える存在を持ってほしいと思う。

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