0.75を1.0に安易に切り上げるな


小宮氏の著作『ハニカム式日経新聞ワークブック 超実践編』で「数字」の勉強を。

景気指標のなかでも、まずはGDP(国内総生産)、現金給与総額、消費支出、小売業販売額、消費者物価指数・企業物価指数、有効求人倍率といった項目の意味をしっかり理解したうえで、その数字に注目する。そしてノートにメモする。その作業を毎週継続することが数字力養成の初歩となり、指標と指標を関連付けて経済を読み解く力、仮説立証する力につながるのだ。

「景気指標をチェックするとき、自分が仕事をしているときに感じる景気の実感と比較しながら定点観測する感覚を持つことが大事です。つまり、数字と自分の実感が合っているかを検証することで次第に自分の感覚と数字がきちんと合うようになってきます。私は、新幹線のグリーン車の隣席の空き具合とGDPの数字を照らし合わせて考える習慣を長く続けています。このとき、自分の感性をしっかり持ちつつ、バイアス(偏見)がかかりがちな感性というものを過信してはいけません。たいていの場合、数字として出ていることのほうが正しいですから、出てきた数字に基づいて、自分の仮説を修正することが重要です」(小宮氏)

景気指標とは異なるが、2003年と08年に小宮氏が東海道新幹線のある区間(愛知県)から見える野立て広告看板の数を車窓から数え、導き出した独自の分析をご紹介しよう。

看板の数は26から14に減った。この理由についての小宮氏の考察は、(1)ネット広告の影響で野立て広告が減った、(2)ビジネスマンが車内でパソコンなど仕事をすることが増え看板の広告効果が落ちた、(3)騒音問題で防音壁が増えて見える看板の数が減った、だった。また、広告主の変化から、業種や企業の栄枯盛衰も見える。さらに、新幹線沿線の工業化が進み、看板を立てられる大きな農地などが減った。そんな推論もしている。