新浪就任サプライズなしの理由

代表幹事内定を発表した11月21日、小林氏は政治・政権との関わりについて「是々非々でやる以外ない」と語り、等距離を強調した。財界の地盤沈下がささやかれる中で、同友会の存在感を示すことを意識した発言と受け取れた。

同友会の次期代表幹事を巡っては、今春、小林氏と同じく副代表を務めるサントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長の起用が急浮上した。新浪氏が5月にローソンの最高経営責任者(CEO)を退き、代表権のない会長に就任することが決まり、「ポスト長谷川」狙いとの憶測を呼んだからだ。同時に、新浪氏は通常2期4年の任期が今年4月末で満了するところを、3期目の続投を決めた点も、次期代表幹事含みとの観測を強めた。

55歳の若さに加え、流通業出身で初の財界トップとなれば、財界の変革に向けたインパクトもあったはずだ。しかし、10月にサントリーHDの社長に引き抜かれ、次期代表幹事の線は立ち消えたとみられる。その時点でも、新浪氏の対抗馬としては小林氏が挙がっていただけに、これまでの経緯はさておき、次期代表幹事人事は落ち着きどころの良いかたちに収まったと言える。

対外的にも日本経済の変革度が試されるこの時期、同友会が旧弊を抱える小林氏をトップに据えざるを得なかった現実からは、ある意味、三団体の中で尖った提言などで突出してきた同友会が財界に同質化し、同友会らしさの行く末が案じられる姿も禁じ得ない。それを打ち消すには、「経営者は結果がすべて」の鉄則通り、同友会トップとして目に見える成果を導く以外に道はないと言えそうだ。

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