主導権がある時間、ない時間を明確に意識せよ

物事を変えるには、戦場にある3つの時間帯を明確に意識する必要があります。

(1)主導権がまだ定まっていないとき
(2)実際の戦闘
(3)戦闘の結果、大勢が決定したとき

主導権がまだ定まっていないときとは、プロジェクトリーダーを探しているときです。誰かが手を挙げて、大きな存在感を示すことができればリーダーになれるときです。営業なら、提案見積りがまだ募集されている時期です。恋愛なら、意中の人がまだ誰とも交際していない時期です。実際の戦闘とは、決定したチームで活動をするときです。そして大勢の決定とは、どこの企業が受注するか決定した時です。恋愛であれば、意中の人に特定の相手が決まったときです。

上記3つの時間区分を見れば明白なのは、主導権がまだ定まっていない時期に、どれほど時間密度を高めることができるかが勝負だということです。この時間帯を意識して勝負をかけることで、残りの時間帯の成果が完全に決まるからです。

プロジェクトのリーダーが決定したあと、あなたが立候補しても変わりません。意中の人が恋人や結婚相手を決めたあとでは、あなたの熱意は届きません。孫子は主導権が宙に浮いているときに、驚くべき速さを発揮せよと主張しているのです。

時間の活用に焦点を合わせている人は、時間の有効活用ができている一方で、自分の外にある機会に鈍感だったりします。時間を活用することに精いっぱいで、外に目を見開いていることができないのです。時間の活用を、夜にコンビニでアルバイトするようなものだと先に書きましたが、24時間を有効活用する「時間活用術」のもたらすプラスにはおのずと限界があります。一方で、人生に成功している人は機会のレバレッジで大きく飛躍をしているのです。

孫子の時間術が「機会」に焦点を合わせてことからもわかるように、時間効率ではなく「機会を増やす」行動は、そのまま人生の時間の活用になるのです。部下に仕事の成果が上がらない状態を与え続けていることは、チーム全体の時間を殺しているようなものです。彼らが成果を高い確率で挙げられるように、営業体制を変えたり説明資料を改善することは、チーム全員の時間効率を高めることになるのです。