【高橋】消費者に関していえば、実質的な収入が目減りしていても、「高くてもいいものを買う」という傾向は強いですよね。5万円くらいするような高級炊飯器が好調な売れ行きを見せていたり。まぁ、これは震災以降「生きているうちが花」と考えるようになったシニア層に多い傾向。貧富の差が開き、二極化が進んでいることの表れともいえるでしょう。安倍政権の政策で特に海外の投資家から注目されているのは、「法人税減税」や「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の運用比率の見直し、今年から始まった「NISA」の投資枠拡大など。法人税減税に関しては、数年で20%台になると言われていますが、それが29%なのか、25%なのかでも今後のシナリオがずいぶん変わってきます。
【永濱】どの程度の財源を確保するかも注目ですね。
【高橋】思い切った減税を期待したいですけど。また、イギリスの「ISA」の成功を見てきたぶん、NISAへの期待は大きいのです。実施はまだ先でも、「いつまでに実施する」と決定して実現性の高さを見せれば、海外投資家は早めに織り込んでくるはずです。
【永濱】GPIFの割合も気になりますね。米沢運用委員長も望ましい国債の割合を3~5割と発言しているので、4割くらいになるのかな。
【武内】結果が具体的に見えてくる今年が正念場でしょう。また、アベノミクスの第一の矢でもある金融政策も気になるところ。日銀は今の状態を継続しつつも、追加の金融緩和はしないだろうという見方が増えていますし。
【永濱】私も年内はないと思います。あるとしたら来年以降でしょうね。
【武内】リーマンショック以降大きく落ち込んだアメリカ経済が持ち直してきているのもポイントです。雇用が回復し、失業率もピーク時よりはずいぶん低くなりました。米国債などを大量購入する「量的緩和政策」も徐々に縮小しており、いよいよ来年後半にも実質的な「ゼロ金利政策」が解除されるんじゃないでしょうか。金利が引き上げられることによって日米の金利差が拡大すれば、円安が進むことが考えられます。輸出需要の高まりも景気を押し上げるはずです。日本の株価にとって、これも大きな好材料でしょう。