1割の「新しい何か」を求め、破壊する

容易にはまとまらない「総会」

僕たちは、例えば間接民主制や、貨幣制度、社会保障制度など、様々な社会の仕組みを「当たり前」のものとして受け入れていますが、その成り立ちや意義を十分に理解している人はどれだけいるのでしょうか。大事なことは、分からないなりに右往左往しながらも、自分たちで時間をかけて試行錯誤し、一つひとつ納得するというプロセスを体験することなのではないでしょうか。それがあれば、社会の仕組みや体制に対してただ不満だけを垂れるようなことも減るはずです。そして自分たちなりに悩み、考え、納得できるようになれば、その環境や制度を自分たちのものとして楽しむことができるようになり、当事者として深くコミットすることもできるようになるはずです。

価値観が交錯し環境が激しく変化する現代社会、時にはゼロから自分で考えなおし、枠組みに縛られることなく柔軟に対応しなければなりません。安易な結論や目先の安定よりも、絶え間ない変化や広がりのプロセスを楽しめる、ゆるさとしなやかさが必要です。そのためには、不格好でも、砂場の城は自分たちでゼロからつくらないと意味がない。この実験的会社に集まったメンバーたちともがきながら、学びました。

このような試行錯誤の過程を見て、「結局は社会一般の会社組織と同じようなものに落ち着くのでは?」と言う人もいます。直接民主制から始めてみたけれど、代議制を採用してみるようになった、というのもその一例でしょう。もしかすると、僕たちがたどり着く結論の9割近くは、既存のものとそう変わらないかもしれません。

そもそも、すべてが新しければいいということでもありません。ただし、残りの1割くらいは、その試行錯誤を経てこれまでには全くなかった「新しい何か」が生まれるはずです。それが何かはまだ見えていません。事前には見えないからこそ、やってみなければ、どのタイミングでどこから生まれてくるかも絶対に分かりません。一見ムダなようでも一度全てを破壊的にリセットし、みんなと時間をかけてゼロからつくりなおしてみようという気持ちに、迷いはありません。

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