しかし、自由が認められているから何を聞いてもいいというのも間違いだ。質問によって就活生が精神的苦痛を被れば、プライバシー侵害やセクハラで訴えられるリスクもある。気になるのは、聞いてもいい質問とそうではない質問の線引きだ。

「質問が職務と関係があるかどうか、質問に合理的な理由があるかどうかが重要です。たとえば芸能事務所の女性タレント採用で、スリーサイズを聞くのはあたりまえですよね。でも、弁護士事務所の採用でスリーサイズについて質問するのは合理的関連性がない。要は質問の内容より、質問の理由が大切です」

理由しだいだとすると、厚労省が「配慮」を求める「尊敬する人物」や「愛読書」について質問することも十分に可能。たとえば「同じカルチャーを持った人を組ませたほうが、チームワークがよくなり、生産性も上がるため」という理由で質問すればいい。こうした質問をされたことに対して「精神的苦痛を被った」などと訴えられるリスクもゼロではないが「賠償相場を考えれば訴訟はワリに合わず、訴訟が提起されることはまず考えられない。全面敗訴のリスクは低いし、仮に一部敗訴となっても、認容賠償額は極めて低い」(畑中弁護士)。

合理的な理由を説明できない興味本位の質問はやめておいたほうがいい。訴訟のリスクは低くても、「あの会社はヤバい」とSNSで拡散するおそれもある。何を聞いてもいいが、尋ねた理由を就活生にきちんと説明できない質問はしないこと。それが面接官の心得だ。

(図版作成=ライヴ・アート)
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