聞き手とイメージを共有する

「複数の人がいるときに、“たとえば”とみんなで共有しやすい話をいれることで、聞き手が話にのりやすくなります。『仕事で失敗した』というたとえ話はだれもが想像しやすいですよね。自分のイメージと相手のイメージを共有し、同じ映像を頭の中に浮かべながら話すことで、より話を進めやすくなると思います」

小さな話の種を見つけて育て、枝葉を広げて、相手と共有できるイメージに落とし込む。そのためには、和田さんが話すように誰もがイメージしやすい“たとえ話”に変換すると効果的だが、これを即座に行なうためには、たくさんの場数を踏むことも必要になるだろう。

その昔、チャールズ・チャップリンは友人たちと毎晩あるゲームをして話術を磨いたそうだ。それは、紙切れにテーマを適当に書いて混ぜ合わせ、一人が紙を引いたら立ち上がり、そこに書かれた「電気スタンドの笠」といったたわいもないテーマにそった話を1分間するというもの。実は、これがとても難しく、話し方の技術練習になっていたという。こうしてチャップリンはどんな話題に関しても、知識や考えを即座にまとめられるように研鑽を積んでいったのだ。

同様に、なにげない話の種をお題として相手にあわせ、同じイメージが共有できるように話を展開していくことはとても大切だ。和田さんのように場数をこなし、チャップリン風の紙切れなどで、あらゆる話に対応できる力を磨くことは、誰にとっても有効だといえるだろう。

では、相手から引き出した話の種を育てたら、最後はどんな風に「キメトーク」をしていくのだろうか。