華僑に学ぶ!有事に頼りになる資産とは●マダム・ホー
華僑の歴史は、まさにリスクと背中合わせでした。毛沢東支配下の中国から抜け出して世界中に散らばった彼らは、本国に戻ることもできず、移住先の海外でも常に立場の弱いマイノリティでした。政変や自然災害など厳しい状況の中で生きる知恵として、彼らは資産のリスク分散に非常に敏感でした。
華僑が資産として重視するものは上から順に海外不動産、海外銀行口座、金、株式などの有価証券です。海外の不動産や銀行口座があれば、政変が起こり今の国に居られなくなったとしても、すぐに脱出して海外で生活を始められます。
教育は“誰にも盗まれない財産であり保険”として、華僑は子供の教育への投資を惜しみません。子供を海外に留学させるのも彼ら特有のリスクヘッジ手段といえるでしょう。海外で学ばせ、その国の言葉に精通させ、しかも永住権まで取らせようとします。そうすれば、いざというときに子供が住んでいる国に容易に逃げ込めるからです。
現物資産の中では金が有効です。23金、24金など金の含有率の高いものを、5g、10g単位で小分けして持つのです。アクセサリーにして身につければ、いざとなれば着のみ着のままで脱出し換金もできます。華僑は結婚祝いや出産祝いにも華やかで資産になる純金のブレスレットやネックレスを贈ることが多いですね。
逆にブランド品や高級ワインなどはあくまでも嗜好品であり、資産としてはみなしていません。ブームが終われば価値が下がるブランド品などに大金を投じるのは、華僑にとって無駄遣い以外の何物でもないのです。
インドネシア出身の華僑を夫にもつ、アメリカ在住の日本人投資家、作家、講演家、メンタルコーチ。『世界一愚かなお金持ち、日本人』『ミリオネアの信用力』ほか著書多数。