「カモ」にならないために
そのような超好景気の場合を除けば、不動産売買の行方を左右するのは不動産業者の働きである。まずは、知り合いの不動産業者を探すところからはじめよう。不動産業者は、相手を自分の客(=カモ)だと判断すると、こちらの損得など考えてはくれないが、相手を身内だと判断すると途端に強い味方になってくれる。「知り合いの弟の奥さんの友達」程度の薄い縁でもいいので、自分のことを身内だと思って動いてくれる業者を見つけること。そうすれば、自分にとって条件のいい取引ができる。
どうしても見つからない場合は、よくCMを見るような大手の不動産業者に行こう。そこまでの好条件は期待できないものの、大手は会社として一定の基準を設けている。極端な悪条件を突きつけられることもないだろう。
一番いけないのは、よく知りもしない家から近いというだけの不動産屋に勢いで飛び込むこと。地場に根ざす不動産屋の中には、地元の大地主の不動産を仲介するだけで生計を立てている人もいる。あなたが「マイホームを売りたい」と相談に来ても、大事にしてくれない可能性があるので注意が必要だ。
ここまで売りどきと買いどきのセオリーがわかると、「家を売ったお金ですぐに新しい家を買う」という一般的な流れに矛盾があることに気づくだろう。家が高く売れるのは、不動産価格が高騰しているときなのだ。そんなことをしたら、結果的に不動産価格のピーク時に高く家を買うことになり、何の得もなくなってしまう。
たしかに、家を売ると大きな利益が出ていた高度経済成長期には、この「家を売ったお金ですぐに新しい家を買う」という流れが税金対策として有効だった。不動産で得た利益を新居の購入に充てれば所得税を免れられる、という特例があったからだ。