第3の腕組みは「批判」である。このタイプは、組んだ腕を胸の辺りまでせり上げるのが特徴だ。組んだ腕を上げると自然に顎も上がる。顎が上がると上から相手を見下ろす視線になる。いわゆる「上から目線」というやつだ。つまり、組んだ腕を胸まで上げることによって、体全体で他者を批判するオーラを発することになるのである。
この批判的な腕組みを観察できるのは、喧嘩の場面である。繁華街に出かけていくと、酔っぱらい同士が喧嘩しているのに出くわすことがある。そんなときは、決して喧嘩している当事者同士に接近せずに、彼らを取り巻いている群衆を観察するとよい。必ずひとりかふたり、胸の高さで腕を組んでいる人がいるはずだ。こういう人物は喧嘩の様子を眺めながら、「何をバカなことをやっていやがるんだ」と、心中で批判しているのである。
批判から一歩踏み込んで相手を威嚇するときは、腕を曲げて腰に手を当てるしぐさになる。アーム・アキンボーと呼ぶが、この姿勢を取ったらもはや一触即発の状態だ。喧嘩を取り囲んでいる群衆の中にこのしぐさをする人が現れたら、いずれその人が喧嘩の主役になるはずである。
【自己防衛】
下腹のあたりで腕を組み、その際、足は組まれずに開いたままの場合がこれに当たる。攻撃から身を守り、いつでも走って逃げられる体勢を取っておく必要があるからである。
【集中】
下腹あたりで腕を組み、同時に足首あたりで足を組んでいる場合がこれに当たる。外の世界をさえぎる巣ごもりのしぐさである。意識を自分の内側に集中させている様子。
【批判】
胸の高さで腕を組んでいる場合がこれに当たる。組んだ腕をせり上げるため、自然に顎も上がる。相手を見下ろす「上から目線」になり、体全体から批判のオーラが出される。