グローバル企業に姿を変えていけるか
「利益率は低いが、もともと99%は吐き出しているボランティアみたいな会社」「利益を上げるのが最終目標ではない。最終的な目標は理念を実現すること」
これらは取材時に出た発言だ。マネタイズへの意識の低さ、まるでNPO法人のような「がつがつしない」姿勢は、JTBの個性であり強みといえる。ゆとりがあり余裕があり、ある意味悠長だ。
田川が取扱額2兆円を目指すとした20年。奇しくも東京オリンピックの開催が決まった。旅を扱うJTBにとってはこれ以上ない追い風だ。果たしてそのとき、JTBは地域に眠るダイヤモンドの原石を磨き上げ、電通のようなプロデュース能力で活性化へと導き、真の意味でのグローバル企業に姿を変えているのか、あるいは、高いポテンシャルを蓄えた体をもてあまし気味の「いまの姿」にとどまるのか。埋蔵金を豊富に抱えながらも、生かしきれずに現在の地位から滑り落ちてしまうのか。20年まであと7年。残された時間はそう多くない。
(文中敬称略)
※資料はすべてJTB、各種資料を基にプレジデント編集部で作成。