よく見受けられるのは10年固定タイプを選択して、10年後に資金計画を見直すという方法だ。現在、10年固定の住宅ローン金利は1.5%前後で推移している。変動金利よりは高いものの、全期間固定タイプよりは低い金利で借りることができる。低金利の恩恵を受けつつ、安心感も得られるわけだ。

しかし、考えてみてほしい。今の変動の最低金利は、金利優遇を受けるとわずか0.775%である。対して、10年固定型はその倍。仮に、10年後に金利が上昇していたとしても、10年固定の1.5%を超える可能性があるかどうか、冷静に検討すべきだろう。超低金利の恩恵を受けるのであれば、変動金利で住宅ローンを組んだほうがいいと私は考える。

安全策は頭金を多く入れたうえで、変動金利でローンを組む方法だ。たとえば、4000万円の物件を35年ローンで買う場合(元利均等払い)、頭金を400万円から900万円に増やせば、金利が1%上がった場合でもローンの総支払額はほぼ同じという試算が成り立ちうる。

当然、金利の先高感がある現在、変動金利に不安を覚える向きもあるだろう。だが万一、金利が高騰してきたら、その段階で固定に借り換える回避策はある。ただしこの場合、手続きはすべて一からの仕切り直し。固定金利自体が上がっていることも考慮に入れて最善のタイミングを見計らう必要があるだろう。

それでも変動金利のリスクが気になるならば、固定金利と変動金利を組み合わせて借りる「ミックスプラン」にするのも手だ。変動金利で借りた分を早く返していけば、その分、金利上昇のリスクは抑えられる。

さらに0.1%の金利上昇に眠れぬほど不安を覚えるタイプの人は、利子を多く払ってでも、フラット35のような全期間固定金利の安定型ローンを選ぶべきだろう。金利という住宅ローンの大命題の1つから解放されれば、多少は枕を高くして寝られるはずである。

(構成=上島寿子)
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