――マツダの社内で「モノ造り革新」と呼ばれる開発から生産に至るきめ細かい業務改革がなされてきました。これが、1ドル=77円の超円高下でも利益を出せる経営体質を生んだということですね。

他社と比べ、国内での生産比率が高く、規模も限られています。国内生産を維持するためには、内需を高めることが必要です。しかし、国内市場では若者のクルマ離れが進んでいると言われています。そういうお客様にも、駐車料金などの維持費を支払ってでも、このクルマが欲しいと思ってもらえるような、付加価値のある商品を効率よく開発して生産することが絶対条件です。手を緩めずに1つ1つ実績を積み重ねていきます。

――来春にはメキシコの新工場が本格稼働する予定です。国内の工場のように、モノ造り革新で取り組んでいる効率の高い生産技術を導入するつもりですか。

はい。国内の防府工場などで取り入れている生産プロセスとまったく同じ生産システムを導入します。働く人の負担にならない作業は、自動化率は低くなりますが、品質にも問題なく国産車と同じクルマがつくれる。これは、国内で立ち上げたスタッフ全員が現地でも徹底的に指導するためです。弊社の生産プロセスは標準化されていて、設計図も流用できる。海外拠点を増やす場合でも効率化が図れ、設備投資を抑える効果も大きいです。

マツダ社長兼CEO 小飼雅道
1954年、長野県茅野市生まれ。77年東北大学工学部卒業後、東洋工業(現マツダ)に入社。04年執行役員防府工場長、06年執行役員オートアライアンス(タイランド)Co.,Ltd社長、08年常務執行役員、10年専務執行役員、同年取締役専務執行役員を経て、13年6月から現職。
(インタビュー&構成=福田俊之 撮影=永井 浩)
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