カクヤスが町の小さな酒屋だったころ、「嫌な仕事はやりたくない」と社員が仕事をボイコット……。佐藤社長が取った“ある態度”をきっかけに、社員たちの働く姿勢が大きく改善したと言います。(2022年6月20日レター)

わが社の小売事業の商号「なんでも酒や カクヤス」には、「お客様の要望にはなんでも応えたい」という思いが込められています。酒販小売業免許で守られていたかつての酒販業界は、完全に売り手目線でした。たとえば店頭にビールの自販機を設置するときも、組合が「冷やし代で自販機のほうは10円上乗せしよう」とルールを決めて加盟各社に守らせました。お客様から見たら、同じ店で同じビールを買うのに値段が異なるのはおかしな話です。しかし多くの酒販店はお客様目線で発想しないので、そのおかしさに気づかなかった。「なんでも酒や」は、自分たちはそうした業界の悪癖と決別して、お客様目線でサービスを考えるという宣言です。

カクヤスは、お客様が喜ぶことを第一に考えて、業界の常識にないことを次々とやってきました。ただ、お客様の喜ぶことをやった結果、現場の仕事が増える場合があります。仕事が増えれば、それに対して文句を言う社員も出てきます。もちろん社員の負担を減らす工夫は大切ですが、現場の不満に引きずられて挑戦をやめると、結局、お客様目線ではなく売り手目線に戻ってしまいます。

(構成=村上敬)