年を重ねても、前向きに、活動的な人生を送りたい――。誰しもに共通する願いだが、現役のビジネスパーソンにとっては自分のことの前に、まず「親の老後や介護が課題」という人は少なくないだろう。

高齢者(第1号被保険者)の要介護認定率を見ると、65~74歳で3.0%なのが、75~84歳では12.1%(※1)と上昇し、この頃から何らかの対応が必要になってくることが多い。親が75~84歳というと子世代は働き盛りの人が多数派だ。そこで問題になっているのが「介護離職」である。

国も事態を重く見て、例えば厚生労働省が「仕事と介護 両立のポイント」として下のとおり六つの項目を挙げるなど、状況改善を図っている。やはり大事なのは、何でも自分で対応しようとしないことだ。介護する側にも自分の人生があるし、介護の負担で体調を崩してしまっては本末転倒である。

仕事と介護 両立のポイント

実際、高齢となった親の側も多くは子どもや家族に負担をかけたくないと考えている。内閣府の「高齢者介護に関する世論調査」によれば、「介護施設等を利用したい理由」の第1位は「家族に迷惑をかけたくないから」だ。“家族で面倒を見るのが親孝行”との思いもあるだろうが、親側の希望、願いも知っておく必要がある。

介護施設等を利用したい理由

親に向けた取り組みが自身のモデルケースにも

介護施設等については、現在その定員数がおおむね増加傾向にある。2022年時点で最も定員数が多いのは「有料老人ホーム」で66万1490人、続いて「介護老人福祉施設(特養)」が59万2754人、「介護老人保健施設(老健)」が37万739人となっている(※2)

有料老人ホームは主に民間企業が運営する施設で、「介護付き」「住宅型」「健康型」の大きく3タイプがある。民間施設として、サービスや設備、人員体制など、それぞれ独自の取り組みを行っており、ニーズに合わせた選択がしやすいのが特徴といえる。

介護老人福祉施設、介護老人保健施設は、社会福祉法人や自治体が運営する公的施設だ。介護老人福祉施設は要介護高齢者のための生活施設であり、基本的に終身利用が可能。一方、介護老人保健施設は要介護者の心身の機能の維持回復を図り、在宅復帰をさせるのが目的で、それぞれ役割が異なる。

高齢者向けのサービスが多様化し、制度も複雑になる中、確かな知識、情報を得て、自分たちに適したものを選ぶことがいっそう重要になっている。「介護は情報戦」ともいわれるように、それを制することができるかどうかで、高齢の親はもちろん、家族のQOL(生活の質)も変わってくるからだ。

親子ともども納得の暮らしを実現することができれば、それは現役のビジネスパーソンにとって、自身が高齢になったときのモデルケースにもなるはずだ。親は将来の自分、そんな視点でシニアの生活を考えてみるのも一つの方策といえるだろう。

※1 内閣府「令和6年版高齢社会白書」より。厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)」(令和3年度)より算出。
※2 内閣府「令和6年版高齢社会白書」より。

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