※本稿は、武神健之『未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書』(ディスカバー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
休職明けすぐの社内異動は厳しい
Q.社内のキャリアに傷はつくのか
精神疾患はあくまでも病気です。高血圧や糖尿病、がんのように、一定の人数の大人がいれば、一定の人数の精神疾患を患う人がいて当然です。高血圧や糖尿病の人を仕事で差別しないように、精神疾患によって差別されることがあってはなりません。一昔前よりもそのような意識は多くの会社に根付いてきていると感じます。
私のクライエントにおいての話であれば、この質問に対する答えは「短期的には影響はあるが、長期的には問題ない」となります。
キャリアに傷というわけではありませんが、短期的には、休職明けすぐの社内異動は厳しいでしょう。
休職明けに社内異動を希望する方がたまにいらっしゃいます。しかし、異動は本人の希望だけで叶えられるものではありません。そのタイミングで、異動先があるかどうかも大切ですが、異動希望先の部署が復職した人を欲しがるかどうかということが最も大切です。
1年も経てば休職したことはみんな忘れている
正直なところ、休職していた人を復職と同時に採用するのはリスクと考える人のほうが多いと言えます。私の経験では、復職後1年間しっかりと元の部署で働き、継続的に以前と同等レベルの仕事ができることを証明することが、社内異動へのまず一歩となると言えます。
社歴が長く、すでにその人の人柄や仕事の出来具合を周囲が昔から知っている場合は例外です。病気さえ治れば期待できることがわかっているときは、復職後でもすぐに異動できることがあります。
長期的に考えた場合、休職したことが、働く人のキャリアにネガティブに影響することは、ほとんどないでしょう。
第一の理由として、過去の病気のことよりも、「今のあなた」が、仕事ができる人なのか、パフォーマンスはどうなのか、そのほうがより大切だからです。おそらく、あなたの同僚たちはあなたが復職して3カ月もすればあなたが休職していたことを覚えていません。あなたの上司ですら半年もすれば忘れているでしょう。1年も経てば、あなたにとっても休職したことは0.1秒以下の記憶でしかありません。つまり、誰もあなたが休職したことなど覚えていないのです。