実はアーティストだけではなく、同じような匂いがする人々がいます。それはperfumeの音楽ディレクターをしている中田ヤスタカ氏やCorneliusのPVを担当している辻川幸一郎氏です。彼らが使うリズム、間の取り方は名和晃平やパラモデルがアートで実践していることと共通しているものがあります。それは既成のセオリーとはまったく違う方法で、自分の求める面白さや楽しさ、美しさをやってみよう、という心意気です。そしてやり始めたら、止まらない。止まったとたんに、何かが変わることを恐れているかのようです。

極楽百景-第八景-新世界-八重勝-ニュー配達 2007 ©paramodel / photo:paramodel courtesy of MORI YU GALLERY
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極楽百景-第八景-新世界-八重勝-ニュー配達 2007 ©paramodel / photo:paramodel courtesy of MORI YU GALLERY

歴史が示すように、必ず新しい才能は登場します。その時に、一部の作品だけを見て判断せず、全部を見てみることが、私の仕事の中でもっとも大切にしているところです。批評をするよりも、追いかけて見続けてみる。そしてしかるべき時がきたら、何かを語る。現代アートはまさに新鮮さが魅力の1つですが、才能溢れるアーティストと同時代に自分が生きていることが、とてもラッキーなことなのだと、最近強く感じています。ゴッホやマチスには話を聞くことが出来ません。時代も場所も違います。しかし、日本に居るアーティストならば、作品のある場所を追いかけ、旅をし続けることが出来るのです。展覧会の会場には本人がいます。作品についてどんな質問を尋ねても、きっと答えてくれるはずです。新しい次の時代を担うアーティスト達は個展会場の片隅にいます。

今、私が気になるアーティストを最後に挙げておくと、ウィーン造形芸術大学で優秀賞を受賞して卒業し、帰国した絵画の小沢さかえがいます。彼女は絵の具は薄塗りながら、カラフルな色づかいで自然や動物を描いています。また、ロンドン在住の映像のさわひらきはモノクロの映像の中に見たことがないような詩的でロマンチックな物語を出現させています。日本国内だけではなく活躍の舞台を海外へ向けている実力派の若手アーティスト達はすでに世界水準で走りだしています。

 

名和晃平「L_B_S」展

■2009年6月19日(金)~9月23日(水)
月曜~土曜11:00~20:00(最終入場19:30)
日曜   11:00~19:00(最終入場18:30)
7月15日(水)9月16日(水)をのぞき、会期中無休/入場無料
  ■会場:メゾンエルメス8F フォーラム(中央区銀座5-4-1)
  ■主催:エルメス財団