コカ・コーラ「マーケティング史上最大の失敗」

ビジネスにおける「撤退戦」には2つのタイプが存在します。

(1) 需要減退(市場の魅力度の低下)または、競争敗退(競争優位性の低下)による消極的撤退
(2)事業ドメイン再構築に向けた積極的撤退

わかりやすく言えば、消極的撤退とは、撤退せざるを得ない状況に陥ってしまい、泣く泣く撤退することであり、積極的撤退とは、まだ成長している(and/or 儲かっている)にも関わらず、強い意志をもって撤退することです。

1985年4月23日、コカ・コーラ(The Coca-Cola Company)は、「最高の品質がさらに良くなりました」と新商品の発売を発表しました。追い上げるペプシ(PepsiCo)を撃退すべく新しい味になったコークは、“COKE”の書体も一新され、「ニュー・コーク」(“New COKE”)という名で大々的なキャンペーンと共に登場したのです。

しかし、出だし好調だったニュー・コークの売上は1ヶ月で急落し、南部の一部ではコカ・コーラ不買運動にまで発展、対するペプシは過去最高の伸び率を記録しました。全米各州からコカ・コーラに対する抗議が殺到し、6月には消費者ホットラインへの苦情が1日8,000件にも達したのです。しかし、同社市場調査部の調査によれば、ブランド名を隠した味覚テストではニュー・コークはペプシに勝っていたそうです。決して味が受け入れられなかったわけではなかったのです。ブランド資産の大切さ、新ブランド投入の難しさとともに語り継がれる、「マーケティング史上最大の失敗」と言われるケースです。耳にしたことのある読者も多いでしょう。