チーズ以外の食材原価は優等生

特定の業態が増えるというのは、それなりの理由があるはずです。そこでピッツェリアが増加しているわけを考えてみましょう。その理由は大きく2つあると考えられます。

(1)家庭で食べられない
メルマガで何度も指摘している点ですが、飲食店に求められる価値として「家庭で食べられないものを提供している」ことは極めて大切です。そして、外食の頻度が減ったり、あるいは家庭で食べられるもののおいしさレベルが向上したりする中(=お取り寄せの充実や、高性能調理器具の登場など)、この「家庭で食べられない」という価値があるかどうかは飲食店の成否をわける大きな分水嶺となりつつあります。

言うまでもなく、専用の窯で焼きあげたピッツァは家庭で食べることはほぼ不可能ですので、窯焼きピッツァとは見事にこの価値を体現していると言えます。料理や外食への感度の高い人にとって、同じイタリア料理でも、家庭でもそれなりにおいしく作ることのできるパスタを外食で食べることの価値が年々低下しているのを感じますが、それとは対照的と言えるでしょう。

(2)収益構造が良い
収益が上がらない業態が増えていくはずはありませんから、増加しているピッツェリアの収益構造が良いことは当然と言えば当然です。ただし、より正確に言うならば、ボロ儲けできるというよりは、他と比べてまだ利益が出やすいということかもしれません。

中には、「粉をこねて焼いただけなのに、何で1枚1,000円も2,000円もするんだ?」と思う人もいるでしょう。その理由はやはりチーズがネックになっているからです。素材数も調理法もシンプルなだけに、チーズの良し悪しは最終的なおいしさに大きな影響を与えます。そしていくら今が円高とは言え、原料の高騰もありますし、そもそもチーズには30パーセント程度の関税がかかっているので、どうしても高くならざるを得ません。

とは言え、他の食材は小麦粉に塩にトマトソースといったところですから、チーズ以外の原価は相当に安く済んでいます。ですので、収益性という点を簡単にまとめるならば、ピッツァとはチーズのコストがやや気になるけれど、全体的には低めの原価でおさめることができる優秀な商品カテゴリーということになります。