「最近は女性も増えてきましたからね。そうなってくると、男性の管理職には相談しにくかったことを相談できるとか、自分のキャリアをどのように重ねていくのかとか、そういう意味で役に立てているのかなと思います。

あとは駅にある女性の宿泊エリアとか更衣室。男性の管理職の目が届きにくい場所は、時折整理されていなかったりするんですよ。それで厳しく言ったりすることもあります。

私に憧れて……ということはどうでしょう(笑)。いろんな先輩がいる、その中のひとり、選択肢にでもなっていればいいですね。共通の目的があれば、そこはもう男性も女性もなく一緒にやっていくことはできますから」(今成さん)

今成さんが本川越駅管区にやってきたのは2021年度。1年間副管区長を務めて今年の春から管区長になった。まさにコロナ禍まっただなかでの久々の現場仕事だ。

「川越は蔵の町、観光のお客さまが多くいらっしゃる町です。今年のGWは久々にたくさんのお客さまに来ていただきまして、本川越駅のご利用は前年比35%増。ただ、コロナ禍前と比べると8割程度でして、まだまだ。去年入社した職員がGWの混雑具合に驚いていましたが、コロナ前と比べるとそれほどでもないよ、って(笑)」(今成さん)

「駅で起こりうるあらゆる場面をぜんぶ経験できるわけではないので…」

実は今成さん、飲み会などでコミュニケーションを深めるのも好きなのだとか。ただ、もちろんコロナ禍ではそうしたことも難しい。そこで駅の職員同士のコミュニケーションをいかに進めていくのか、頭を悩ませている。

「駅のコミュニケーションってけっこう難しくて。業務の合間に話はできるんですけど、お客さま対応があるのでどうしてもぶつ切りになってしまい、腰を据えて話をする機会がなかなかない。

鉄道員は、異常が発生した際の対応次第で人命や早期運転再開が左右される仕事です。駅で起こりうるあらゆる場面をぜんぶ経験できるわけではないので、やっぱり先輩から後輩へと経験を語って共有する機会は重要なんですよね……」(今成さん)

そうした悩みも抱えながら、管区長として邁進する今成さん。コロナ禍が続く中だからこそ、意識していることがあるという。

「なかなか羽を伸ばして外出できない日々が続いているじゃないですか。でも、だからこそ外に出て私たちの駅に来てくださったお客さまに、少しでもワクワクして『でかけること』を楽しんでもらったり、『でかけたい』と思ってもらえるように沿線や川越の魅力をご案内しましょうね、と。こういう時代だからこそ、ですね」(今成さん)

管区長、つまり言い換えれば今成さんは西武新宿線の末端、航空公園~本川越間7駅の“駅長さん”。通勤の人がいつものように駅を使うときも、観光の人が久々の行楽に心を躍らせながらやってくるときも、出迎えてくれる駅員たちの背後には、今成さんのような“駅長さん”がどっしりと構えているのである。

写真=鼠入昌史

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