自分が「頑張りすぎていた」ことに気づくのが、自分の体やメンタルヘルスに異常が現れたときになってからでは遅い。精神科医の藤野智哉さんは「目に見えないタイプのメンタル不調にもサインがある」という。「プレジデント」(2022年6月17日号)の特集「報われる努力、ムダな努力」より、記事の一部をお届けします。
多くの考えで落ち込んだ女性
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頑張り屋さんの落とし穴「努力」のさじ加減

日本人の多くは頑張りすぎです。精神科の医師として日々感じていることです。「私は大したことのない人間です」「ほかの人は普通にできていることが、自分にはできないんです」。そう口にする人は多いですが、本当にそうでしょうか。もう十分に頑張りすぎているのではないでしょうか。

高すぎる目標設定、自他ともに認める努力家、弱音を吐かない気骨……、そんな「頑張り屋さん」は、実は要注意なのです。

日本の自殺率はG7中トップで、長時間労働や過労死も多いです。いわゆる過労死ラインは、平均残業時間が月80時間です(死亡前の2〜6カ月間)が、ならばそれ以下なら心身ともに健康に働き続けられるかというと、必ずしもそうではありません。

職場環境や人間関係、生来の体力や気質もあるでしょう。時短で働く人の場合は、労働時間外に、子どもの送迎や家事・育児に忙殺されたり、自宅で介護に従事しているかもしれないのです。

「プレジデント」(2022年6月17日号)の特集は「報われる努力、ムダな努力」。こんなに頑張っているのに、結果がついてこない。でも、諦めるのはまだ早い。やり方を少し変えるだけで、まったく違うところにたどり着けるかもしれません。本特集では、ひろゆき氏や各界のトップリーダーへのインタビュー、様々な分野の科学的な知見から、努力が報われるために不可欠な「法則」を探っています。ぜひお手にとってご覧ください。