工場の再配置と交通網の整備こそが「列島改造」の骨格

日本列島改造論』には、首都機能を分散させるアイデアや具体的な方法が詰まっている。

田原総一朗、前野雅弥『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)
田原総一朗、前野雅弥『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)

角栄は通産省の大臣室で4日間、朝から夕方まで6時間、ぶっ通しで『日本列島改造論』の骨子をしゃべり続けた。「まるで速射砲のようだった」と小長は言う。

「君らが東京の丸の内で酔っ払って倒れても、救急車で病院に運ばれて一晩休めば、命に別状はない。でも、同じことを北海道でやったらどうなるか。そういう格差をなくす。それが日本列島改造論だ」

角栄の話は比喩やたとえを交え、わかりやすかったが、日本列島改造論の骨格は「工場の再配置」と「交通網の整備」だった。開発から取り残された地域への工場の再配置、都市機能の分散と、農村を経由しながら中核都市をつなぐ交通網の整備だった。

『日本列島改造論』に透けて見える首都移転の原点

9000キロメートルの新幹線鉄道網の整備によって「東京と日本列島の主要地域を1日行動圏にする」ことも盛り込んだが、基本は日本各地に25万人規模の中核都市を形成し、これを高速道路または鉄道で結ぶ発想だった。

ただ、「天才」と言われる角栄だ。1972年発刊の著書ですでに、リニアモーターカーについて言及している点はさすがだ。「車輪とレールに頼るいまの鉄道では、時速300キロメートル程度のスピードが物理的な限界である」としたうえで、超電導技術を使ったリニアモーターカー方式で第二東海道新幹線を整備すべきとしているのだ。

高速鉄道網や道路を駆使しながら日本各地に新たに形成した中核都市と連携、首都機能を分散させていく。首都移転の原点が角栄の『日本列島改造論』には込められているのだ。

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