田中角栄なら「今すぐ遷都しろ」と言うはずだ

では、どうするか。結論は遷都だ。

「アフター・コロナは遷都で明けろ」田中角栄なら、そう言うだろう。

「もう東京一極集中の時代は終わった」と。

都市というのは、発展段階においては西へ西へと開発が進む。そして極限まで西に伸びると、今度は凝縮が始まる。中心地点に向け、様々な機能が凝集されていく。

現在、東京は西への発展段階が完了し、凝集の時代に突入している。しかし、これだけのリスクを抱えつつ老朽化が進んだ東京で、国家運営を続けるのはもはや無理だ。新しい時代は新しい都で開くのが自然の摂理だ。それを政治の力で実現させる。

日本はもともと時代が切り替わるタイミングで遷都を繰り返してきた国だ。「災害に備えたリスク管理」という意味だけではなく、新しい時代を迎え入れるタイミングで新しい時代の器をつくってきた。

国際都市・東京に存在の意味がなくなったと言っているわけではない。経済都市として東京はそのまま発展させ機能させていけばよい。いわゆる「商都」だ。そして、政治の中心としての機能は切り出して、岩盤が強固な場所に移し、新しい首都を形成する。

首都移転は世界的に見て決して珍しいことではない

そもそも首都移転は国会で決議済みである。1990年に衆参両院で「国会等の移転に関する決議」を議決し、「首都機能移転を検討する」という基本方針はすでに決まっている。

移転先候補地についても「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」、移転先候補地となる可能性がある地域として「三重・畿央地域」と選定作業も進んでおり、世論の盛り上がりとは裏腹に、水面下で準備は着実に整いつつある。角栄なら「それを実行せよ」と言うはずだ。

アメリカのワシントンとニューヨーク、カナダのオタワとトロント、オーストラリアのキャンベラとシドニーなど、首都と最大都市が異なる国は多い。

キャンベラにピンの刺さったオーストラリアの地図のクローズアップ
写真=iStock.com/JonGorr
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ドイツも、東西統一後にベルリンとボンに分けて行政機関を設置している。両者は直線で約450キロメートル、鉄道・高速道路では約600キロメートルの距離だが、連邦議会はベルリンに完全に移転し、連邦政府の省庁の中核部分もベルリンに移転させている。

隣国の韓国もまた遷都を実施している。最近では、2022年1月にインドネシアが交通渋滞の激しいジャカルタからボルネオ(カリマンタン)島の東部に移す法案を可決した。残ったジャカルタは経済拠点として発展させる計画だ。

このように、首都移転は世界的に見ても決して珍しいことではない。日本も逡巡しているときではない。今がそのタイミングなのだ。