いま日本はコロナ不況に苦しんでいる。この状況を打破するには、どうすればいいのか。日本経済新聞記者の前野雅弥さんは「もし田中角栄が生きていれば、『もう東京一極集中の時代は終わった。アフター・コロナは遷都で明けろ』と言っていたはずだ。それは『日本列島改造論』を読めば明らかだ」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、田原総一朗、前野雅弥共著『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

上空から見た東京タワーがある東京の街並み
写真=iStock.com/ASKA
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丸の内で直下型地震が起きれば、日本の経済は止まる

東京はもともと軟弱な地盤を深く掘り込み過ぎている。コンクリートで固めているが、経年劣化は加速度的に進み、老朽化が著しい。直下型地震、東日本大震災クラスの巨大地震が発生すれば、東京は間違いなく壊滅だ。それほど東京は限界に達している。

にもかかわらず、政治、経済、司法、行政――。すべての機能が東京に集中している。

たとえば、丸の内は面積としては東京駅前のわずかなエリアだが、その中に日本を代表する一流企業が集結し、30万人近くのビジネスパーソンが働いている。

丸の内の再開発を手がけた三菱地所が「丸の内にオフィスを構えれば、午前中だけで3件の大きな商談がこなせる」と言うとおり、まさに日本のエリートビジネスパーソンの集積地である。丸の内に拠点を構える企業の売上高を合算してみると約100兆円に上り、国家予算に匹敵する。仮に丸の内が直下型地震に見舞われれば、日本の経済は瞬時に止まる。

利便性や快適性が高い反面災害リスクはとても高い

行政も政治も、構造は同じだ。すべてを集中させ、それぞれに機能性を極限にまで高めている。だから東京は強い。世界のなかでもトップレベルだ。森記念財団の都市戦略研究所の調査「世界の都市総合力ランキング2021」によると、東京の「都市力」はロンドン、ニューヨークについで世界第3位である。パリ(4位)やシンガポール(5位)をしのぐ評価だ。

ただし、これは平時の話である。東京の場合、密集していることが利便性、快適性の高さにつながっている面が強いぶん、リスクは高い。しかも内に向けた集約化は加速度的に進む。しかも、セーフティネットがない。直下型地震が発生すれば、ひとたまりもない。一瞬で崩れる東京は危うい。