仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは『なぜ若者は理由もなく会社を辞められるのか?』(扶桑社新書)――。
若手ビジネスマン
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イントロダクション

コロナ禍による一時的な採用絞り込みの動きはあるものの、近年の日本では、生産年齢人口減少などの影響を受け、企業の「人手不足」が深刻になっている。

それなのに、やっとの思いで採用した新卒の若者がすぐに辞めてしまう、といった嘆きがよく聞かれる。なぜ彼らはせっかくの就職をふいにしてしまうのか。

本書では、中高年からはなかなか理解されない現代の若者の仕事やキャリアに対する考え方やその変化、それに影響する大学教育の実態などについて、調査データと著者自身の経験をもとに考察。

現代の若者の多くは職場での「成長」を重視するが、それは「受け身」のものであり、企業が「成長させてくれる」ことを望む。それが叶わず、主体的な努力が必要な厳しい職場であることがわかると、躊躇なく辞めてしまうのだという。

著者は神戸学院大学現代社会学部教授。経済学博士。旧労働省に入省し、厚生労働省大臣官房国際課課長補佐(ILO条約担当)等を経て、兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科教授。2014年から現職。

はじめに 間もなく、若者に逆襲される日本企業の皆さんへ
1.本格化する若者激減時代
2.甘い経営者と中高年管理職の認識
3.若者は弱いか?
4.日本を衰退させる若者の仕事観
5.日本を再浮上させる若者の仕事観
6.若者はなぜ「成長」したがるのか?
7.もはや小中高と大差ない大学
8.若者を有効活用できている企業がやっていること
9.今の若者に欠けているもの
おわりに 日本企業は大学より遅れている?

「成長しないとヤバい」不安を感じている

就職先を決めるに際して若者が最も重視するものは何か。リクルート就職みらい研究所「就職プロセス調査(2021年卒)」では、「就職に際して何を重視したか」という質問に対する答えとして、「成長できるかどうか」が最も多くなっています。

ところで、大学の授業で困るのが私語です。私語を聞かされる周りの学生は迷惑します。どう黙らせるか。試行錯誤を重ねて編み出した方法の一つは、授業の中身をなるべく学生の実生活と絡めて解説してやることです。自分と無関係ではないとわかった瞬間、どんな学生も聞き耳を立てようとします。

その中で、「武器」「護る」「盾」といった防衛本能をくすぐるような言葉を使うと、急に演壇の方を向く学生が多くなることに気付きました。英語の授業などでも「これからはインバウンドやグローバル化で、英語ができれば自分を護る大きな武器になるよ」と言うと、聞き耳を立てるようになるのです。

みな、どこかで不安を感じているのです。この文脈で成長という言葉を捉えると、全く違った風景が見えてきます。武器と同様に成長しないとヤバい。若者にはどこかそんな感覚があるということです。