LLPはインキュベーターに向いている?

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インキュベーターに向いた「器」の検討

日本における「有限責任事業組合(LLP=Limited Liability Partnership)」というのは、「有限責任事業組合契約に関する法律」という法律に基づく「契約」です。このLLPの特徴は、以下のようなものになっています。

・「会社」や「法人」ではなく、「組合」(単なる契約)です。

・このため「法人格」がありません。

・しかし登記は必要です。

・(民法上の組合と違って)各組合員は有限責任です。

・株式会社と違って、決議の方法や利益の分配などを、契約によって柔軟に定められます。(柔軟な内部自治)

・法人格がないので、LLPには法人税が課せられません。

・有限責任事業組合契約であらかじめ定めた組合員への利益分配の方法に従って、各組合員に損益を分配してその所得に合算し、各組合員が(いつも通り)申告を行うことになります。(構成員課税)

・共同事業性の要件を満たす必要があります。

・つまり、すべての組合員が業務執行に参加する必要があります。

・会計監査は法律では規定されていません。

○有限責任性

民法上の組合は組合員全員が無限責任です。

また、ベンチャーキャピタルのファンドによく使われる 投資事業有限責任組合(LPS)は、出資だけで運営には関わらない有限責任組合員(LP)と、ファンドの運営を行う無限責任組合員(GP)に分かれます。

これに対してLLPの場合は、全員が有限責任(組合員が出資額以上の責任を負わされない)であり、安心感があります。(借金をせずにベンチャーの株式に投資をしている分には、株式自体が有限責任ですので、組合の持分が無限責任であったとしても、組合員に出資額以上のリスクが及ぶことは無いはずではありますが。)

○パススルー(構成員課税)

LLPは法人格が無いので法人税が課せられません。LLPでは税務申告も不要です。

もちろん全く税金を払わなくていいわけではありません。税務上、LLPで発生した利益を「3:7で分ける」などと取り決めをしていけば、そのとおりに各構成員(組合員)の所得として振り分けて、各組合員がそれぞれいつも通りの税務申告をするわけです。

○法定監査

一定以上の規模のベンチャーキャピタル・ファンドなどで使われている「投資事業有限責任組合(LPS)」は、会計監査を行わなければならないことが法律で義務づけられています。(つまり、その分コストが増えるわけですね。)

これに対して、LLPでは法律で会計監査が義務づけられているわけではありません。

今回のFemto Startup LLPでは、銀行預金の管理や帳簿の管理を主として組合員の一人である株式会社インターリンクが行うこととなっています。現在想定しているペースだと、Femto Startupで毎年発生する伝票は、投資や売却、弁護士フィー等の支払など、せいぜい10枚とか20枚程度にしかならないのではないかと思われる(パッと見ればわかりそう)ということで、会計監査は行わないこととしています。