「未完の革命」を成功させ、5選へ

ウクライナ情勢は昨年11月以降、ロシア軍が10万の大軍を国境地帯に集結させて緊張したが、1月10日から米露の戦略対話が開始され、「外交の季節」に入ることで、軍事侵攻の可能性はひとまず遠のいた。

2022年1月10日、ロシア・モスクワで開催されたカザフスタンの騒乱に関する集団安全保障条約機構(CSTO)臨時オンライン会合に出席するプーチン大統領
写真=AA/時事通信フォト
2022年1月10日、ロシア・モスクワで開催されたカザフスタンの騒乱に関する集団安全保障条約機構(CSTO)臨時オンライン会合に出席するプーチン大統領

ロシア最大の同盟国・カザフスタンで、新年に反政府暴動が勃発し、ロシア軍が治安維持に出動したことも、プーチン政権にとっては「2正面作戦」となり、ウクライナ対策を鈍らせるだろう。

とはいえ、米露協議は難航必至であり、交渉が決裂すれば、再び軍事侵攻の危機が高まる。

ロシアでは、プーチン政権がウクライナ威圧を強める背景に、「2024年問題」があるとの見方が出ている。プーチン大統領が、「未完の革命」であるウクライナ問題を決着させ、24年の選挙で5選を狙うというシナリオだ。

スターリン越えとなる「30年政権」が実現する

ロシアの有力メディアグループ「RBK」は年末の12月27日、「クレムリンが2024年大統領選の準備を開始した」と報じた。

唐突かつ奇妙な報道だったが、クレムリン当局者は「現職大統領の選挙の戦い方が討議されている。他の候補の選択肢はない」と述べ、プーチン大統領が5選を目指す方針を示したという。

次回大統領選は2024年3月17日に実施される。RBKによれば、クレムリンの選挙準備は、与党が得票率を落とした昨年9月の下院選の総括や反省を踏まえて、次回大統領選の圧勝を狙っているという。2年後の選挙でプーチン氏以外に有力候補は見当たらず、出馬すれば、当選確実とみられる。

2000年に大統領に就任したプーチン氏が5選を果たせば、1期6年、2030年までの政権担当が可能で、20世紀以降のロシアでは、スターリンを抜いて最長在任の指導者になる。