仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは『1995年のエア マックス』(中公新書ラクレ)――。
スニーカーを身に着けている男性
写真=iStock.com/bee32
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「シューズ以上の価値」が与えられたきっかけ

カジュアルなファッションアイテムとしてすっかり定着した「スニーカー」。1995年にナイキが発売した「エア マックス」が大ヒットし、「エア マックス狩り」が横行するほどのスニーカーブームを記憶する人も多いのではないか。

今では、投資の対象となるなど、かつてとは異なるブームが起きているようだ。

本書では、スニーカーについて、現在までの三度のスニーカーブームを検証し、若者を中心とするカルチャーや市場経済、投資などとの関わりを論じている。

スニーカー市場では、人気アイテムをめぐり国境を越えた争奪戦が起き、定価の数十倍で転売されるケースも出てきている。さらにリセール品を株のようにリアルタイムで売買するマーケットも登場。このようにスポーツシューズにシューズとして以上の価値が与えられるきっかけになったのが「1995年のエア マックス(エア マックス 95)」人気なのだという。

著者は雑誌「Boon」(祥伝社)をはじめ、メンズファッション誌、カルチャー誌を中心に編集・執筆活動を行う編集者。著書に『東京スニーカー史』(立東舎)、共同監修に『SNEAKERS』(スペースシャワーネットワーク)がある。

1.“テン”年代のスニーカー
2.「シューズ」から「スニーカー」へ
3.1995年のエア マックス
4.インターネットとスニーカー
5.変容するスニーカー
終.スニーカーの今とこれから

「この新作は売れないかもしれない」仕入れ数を控えた

今や世界最大のスポーツ関連商品メーカーとなったナイキ。「エア マックス 95」人気が社会現象となり、日本で“空前のスニーカーブーム”が起きたとされるのが1996年前後。実際、1996年からの20年において、ナイキの売上高はなんと約5倍まで増えている。

(1995年に発表された)新作の「エア マックス」(後に「エア マックス 95」と名付けられるモデル)を見て、スポーツ店やメディアは怪訝な表情を隠せなかった。第一印象がとにかく「重々しい」のである。それまでの「エア マックス」シリーズは、ヴィジュアル面を通じて軽快さを表現してきた。

「この新作は売れないかもしれない」。走るためのシューズとして「エア マックス」を扱ってきたバイヤーたちはリスクを恐れ、仕入れ数を控えめにコントロールした。しかしそれこそが、後に空前のブームを巻き起こした一つの原因とも言える。