Google Workspace 導入事例 06 - ユニ・チャーム株式会社
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ユニ・チャーム「共振の経営」を支える、独自の働き方改革と DX
働き方改革、そして DX において、常に先駆的な取り組みを行ってきたユニ・チャーム。早期から、社内の業務や組織の構造などを根本的に見直し、再設計する「BPR(Business Process Re-engineering)」プロジェクトに取り組んできた。また、2017 年にはサーバー側でデータやアプリケーションを一括管理する「シンクライアント」を導入。同時にデジタル技術を活用した働き方改革も推進している。こうした取り組みによって、2021 年 6 月には経済産業省と東京証券取引所が選出する「デジタル トランスフォーメーション銘柄(DX 銘柄)2021」において「DX 注目企業 2021」にも選定されている。デジタル技術によって従業員が働きやすい環境を整える、ユニ・チャーム流の働き方改革について、DX 推進本部 本部長の坂元 乃之氏に話を聞いた。
坂元 乃之 ( さかもと・のぶゆき )
ユニ・チャーム株式会社 DX 推進本部 本部長
1986 年ユニ・チャーム株式会社に入社、Web コミュニケーション、デジタル広告・キャンペーンなどデジタル マーケティングに携わった後、2021 年 1 月より現職。UX を実現するデジタルマーケティング、BPR などユニ・チャームの DX を推進している。
「人材の成長」を経営課題のナンバーワンに掲げる会社
- ユニ・チャームは元々、独自の理念を掲げ、事業を通じて地域社会や世界が抱える課題に貢献することを重視してきた企業だ。全従業員の精神的支柱ともいえる「NOLA&DOLA(ノーラ&ドーラ)」(Necessity of Life with Activities & Dreams of Life with Activities)には「赤ちゃんからお年寄りまで、生活者がさまざまな負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする商品を提供し、一人ひとりの夢を叶えることに貢献する」という思いが込められている。
さらに高原 豪久社長は「共振の経営」という独自のマネジメント・モデルを推進。経営層と現場の従業員がしっかりと互いの状況や考えを伝え合い、日々の工夫や知恵が現場と経営の間を行ったり来たり、振り子のように共振することで「現場の知恵を経営に生かし、経営の視点を現場が学ぶ」という経営スタイルを採る。
2021 年 2 月に発表した第 11 次中期経営計画では、SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標 )達成に貢献することを「パーパス(存在意義)」とし、「共生社会」の実現を目指すことを自らのミッションに掲げた。
「その中期経営計画の 1 番目に挙げているのが、人材育成なのです。これは他の会社では考えられないことだと思います」と坂元氏は語る。
たしかに中期経営計画の「ユニ・チャームプリンシプル」として「優れた人材の育成・能力開発」という項目が掲げられている。ではユニ・チャームはどのような人材を育てようとしているのか。
「私たちはそれを『共振人材』と呼んでいます。共振の経営を推進するべく、トップとボトムが一緒に喧々囂々、議論し、互いに切磋琢磨して新しいものを目指していけるのが、共振人材です」(坂元氏)
時代に先行してリモートワーク導入に取り組む
- ユニ・チャームでは、ダイバーシティ マネジメントの推進、職場の健康と労働安全システムの構築という観点から、新しい働き方へのニーズに合わせて BPR プロジェクトに積極的に取り組み、早くからリモートワークを導入してきた。
セキュリティ面や業務の統合的な運用の意味から、クライアント端末にデータやアプリケーションを残さず、サーバーで一括管理するシンクライアント方式のシステムを整備。このシステムの完成によって、リモートワークが可能となった。
「2017 年から月に 4 回まで可能とする形でリモートワークがスタートしました。今のようにリモートありきではなく、『共振人材』の育成に向けて、多様な働き方を推進するために進めてきたものです」(坂元氏)
いざリモートワークを導入してみると、各従業員がそれぞれのペースで業務に集中できることから、創造的思考の時間を創出できることもわかってきた。それを加速させるために、2018 年 1 月からは緊急時以外、休日の電話やメール送信を禁止したほか、調整や報告などの連絡は電話ではなく、メールやチャットで行い、相手の思考を中断させないようにするといった意識改革も行った。
このように、ユニ・チャームでは新型コロナウイルス感染拡大以前からリモートワークへのシフトが進んでいたため、2020 年 2 月に完全リモートワークに切り換わった際も、製造部門、お客様対応部門を除く 8 ~ 9 割の従業員が大きな問題もなく移行できたという。「100 %リモートワーク」という体制への従業員の反応はおおむね好評で、全体としての生産性も上がったという。しかし同時に、世代によって受け止め方に大きな違いがあることや、意外な課題も見えてきた。
「中堅やベテラン従業員は、リモートワークを快適な働き方だと実感しているのですが、まだ仕事のスキルが十分に身についていない新人にとっては、リモート環境だとちょっとした疑問などを上司や先輩に気軽に聞くことができない、と困っているケースが多いことがわかりました」(坂元氏)
ほかにも、小さい子どもがいる家庭では仕事に集中できない、家の中に仕事スペースが確保できないと困っている従業員がいることもわかってきた。
こうした課題をユニ・チャームは多様な働き方への対応と DX によって解決している。
リモートでもコミュニケーションを促進できるツールとして、Google Workspace に手応え
- 100 %リモートの働き方は、周囲から邪魔されることなく集中できるため生産性を向上させるものの、前述のような課題が見えてきた。また、新規プロジェクトの立ち上げや「顧客インサイトの発見」などには、関係者がオフィスに集まり、活発な議論を交わせる環境があると良いという側面もみえてきた。
この「顧客インサイトの発見」は、ユニ・チャーム社内の重点業務である。ユニ・チャームは DX 導入の主目的を、新製品開発、リニューアル タイミングや改良点の創造、新規カテゴリー開発につなげるための「顧客インサイトの発見」に据えている。
「顧客インサイトの発見」に必要な環境を整え、新たな発想やイノベーションを起こすための取り組みの一つとして、2020 年 7 月からは、完全リモートが可能な環境を維持しながら、ハイブリッドな形で働く場所と時間を、自らのライフスタイルに合わせて選択できるようにしている。
さらに 2021 年 7 月には ビデオ会議システムである Google Meet を導入。これにより、リモートでも、オフィス勤務でも、働く場所を問わず、社内やチームの他メンバーと緩やかなつながりを保てるようになったという。例えば、各部メンバーがそろい、ラジオ体操を楽しむ時間を設定したり、ユニ・チャームでは「スクラム」と呼ばれる 5~6 人のグループで、朝の始業時と夕方の終業時に定例ミーティングを行うことで、より多くの人と質の高いコミュニケーションをとれる工夫をしている。
「Google Meet は操作が簡単で気軽に使いやすい。今後は社内だけでなく、社外に向けても、例えば SNS のライブ配信などで行ってきたエンドユーザー向けの情報発信も、Google Meet でできるかもしれないという可能性を感じています」(坂元氏)
現在、Gmail、Google カレンダー、Google Meet の 3 つのツールを主に使っているユニ・チャームだが、「今後は国外の現地法人との連携を深めていくためにも、Google ドライブや Google スプレッドシートといったコラボレーションツールの活用の可能性も考えていきたい」と Google Workspace のさらなる活用に意欲を見せている。
また、東京・三田の本社オフィスでは、2006 年からフリーアドレスのフロアを設置し、オフィス改革にも取り組んできた。さらに 2019 年 5 月には、部門の垣根を越えたコミュニケーションを促すために、従業員誰もが集いアジャイルに「共振」することができるコラボレーション スペース「アジャイル特区」を別フロアに作った。コンセントレーション 「沈思黙考して戦略を深く思考する場」、インタラクト 「部門横断のプロジェクト・タスクフォースの場」、コミュニケーション「コミュニケーションを促進する場」、リフレッシュ & リラックス 「インフォーマルな交流を促進する場」の 4 つのコンセプトで「アジャイル特区」は作られている。ここでは部門を越えた協業からイノベーションを生み出すための環境作りを行いながらも、それぞれの業務が妨げられないような工夫をしているのだ。
ユニ・チャームでは、他の日本企業において新型コロナウイルス感染拡大を機に加速している働き方改革と DX に、早い段階から着手・浸透させ、活発なコミュニケーションをもとに「共振人材」を育成することに成功している。
Google Workspace をシンクライアント環境下でいかに導入したか
二神 幸平 ( ふたがみ・こうへい )
ユニ・チャーム株式会社
DX 推進本部 BPR 統括部情報システム部マネージャー
2001 年、ユニ・チャーム株式会社に入社し情報システム部へ配属。以後、社内ポータル、Gmail、テレビ会議環境といった社内コミュニケーション基盤の導入、インドネシア基幹システム導入を経験し、現在に至る。
- 2001 年、ユニ・チャーム株式会社に入社し情報システム部へ配属。以後、社内ポータル、Gmail、テレビ会議環境といった社内コミュニケーション基盤の導入、インドネシア基幹システム導入を経験し、現在に至る。
ユニ・チャームが Google 製品を導入したのは 2009 年 1 月に遡る。「当時、海外の現地法人のドメインに統一性がなかったため、グローバルでのドメイン統合を図るため Gmail を全社で導入したのが最初でした」と DX 推進本部 BPR 統括部情報システム部マネージャーの二神幸平氏がその経緯を語る。
Gmail を選んだのは、世界のどこでも同一環境で使用でき、セキュリティ面でも安心だったからだという。しかし、ユニ・チャームのシステムが、前述したシンクライアントで構築されていることから、それ以降は Gmail 以外の Google Workspace の機能はあまり活用されていなかった。2021 年 7 月に改めて、ユニ・チャームでは Google カレンダーおよび Google Meet を全社的に導入することとなった。
- 「シンクライアントの環境でウェブ会議(Google Meet)の接続先をどうやってローカル側に持っていくかが課題でした。その点について、Google がサービスごとにアクセス権を分ける機能を Google Workspace に実装したことで、活用できるようになったのです。具体的には、Google カレンダーに情報を入れて橋渡しする形でローカルに情報を持っていくことで、当社で Google Meet が便利に使えるようになりました」(二神氏)
こうした新たな取り組みは、DX の先進企業ユニ・チャームにとっても大きなチャレンジで、Google Workspace に対する期待は高かったという。
「最適なワークツールを導入することで生産性が向上すれば、個人個人が成長するためにより多くの時間を使えます。それが私たちの真の狙いです。今後は Gmail、Google カレンダー、Google Meet だけでなく、コラボレーション ツールの Google ドライブや Google スプレッドシートなどの活用も促進したいと思っています」(二神氏)
独自のマネジメント手法で「共振の経営」を実践するユニ・チャーム。主体的に考え、自律的に動ける従業員の育成を第一に考え、独自の働き方改革や DX 推進に取り組んできた。そのユニ・チャームが、従業員の成長にさらなるドライブをかけるために選んだツールが、Google Workspace だ。常に時代の一歩先を見据え、デジタルの力を積極的に活用することで、DX のみならず、SDGs の先進企業としても業界全体を牽引していくだろう。
Google Workspace
Google Workspace は、Google が提供するクラウド型のグループウェア。「Google Meet」や、メッセージやグループの会話などを行うコミュニケーション ツールとなる「Google Chat」 、他のツールが統合され強力な検索機能をもつ「Gmail」、チームで共有できる「Google カレンダー」、さまざまな形式のファイルを安全に保管、共有できる「Google ドライブ」、複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能な表計算アプリケーションの「Google スプレッドシート」、アンケート フォームが簡単に作成できる「Google フォーム」など、企業で必要なすべてのアプリケーションが揃う。共同作業がしやすく、組織の生産性を高めるとともに、新たなアイデアの創出を促す機能があり、生産性向上と柔軟な働き方を実現するコラボレーション ツール。
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