「自分が仕事において一番大事にしているものは何か」

“偶然、社内で過去の「不祥事」を発見してしまった。製品出荷前に決められたチェック手順を踏まねばならないのに、ある工場でその一部を省略していたのだ。検査部課長である私は即時公表することを上司に迫ったが、上司は「待て」と言ったまま放置している。どうやら、握りつぶそうとしているようだ。”

組織を守るためにあえて隠蔽に加担するという選択もあります。しかし、コンプライアンスに対して厳しくなっている昨今、問題はいずれ必ず明るみに出ると考えておいたほうがいいでしょう。そもそも、規格に満たないものを出荷して、もし事故が起これば、顧客に多大な迷惑がかかります。自分たちは何のために、誰のために仕事をしているのかを考えれば、おのずと答えは出てくるはずです。

木村尚敬『修羅場のケーススタディ』(PHPビジネス新書)
木村尚敬『修羅場のケーススタディ』(PHPビジネス新書)

告発すると覚悟を決めたら、あとはプロセスの問題です。セオリーはやはり、上司のその上、つまりこのケースでは本部長や役員に相談することでしょう。それでもダメならさらに上。最終的には社長に直訴する必要があるかもしれません。

ビジネスの世界には、今回のケースのような「絶対の正解がない問い」があふれています。そんな時、最後に判断基準となるのは「自分が仕事において一番大事にしているものは何か」という「軸」です。もし、自分にとっての軸が、顧客の満足だとするならば、たとえ一時的に窮地に陥るとしても、あくまでその軸に基づいた選択をしなくてはなりません。

修羅場とは自分にとっての正義とは何か、価値観とは何かが問われる「踏み絵」でもあるのです。こうした「踏み絵」は、いつ、どんな形であなたの目の前に現れるかわかりません。だからこそ、普段から自分の軸を意識して、それに基づいた仕事をする必要があるのです。

コメントby SERENDIP

「若手を異動させてシニアを入れる」といった施策は、外資を除く、たいていの日本企業では人事部門が異動などの人事権を握っているため、現場のリーダーが直接手を下すのは難しい。だが、上層部に進言することはできる。こうしたケースや、自分の軸をぶらさずに行動しやすくするためには、風通しのよい、多様性を許容する「心理的安全性」が確保された職場づくりが前提となろう。その前提があれば、そもそも修羅場は起きにくく、起きたとしても多様なアイデアを検討しながら皆で解決することができるのではないだろうか。

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