Google Workspace 導入事例 04 – 株式会社KADOKAWA Connected
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ツールの押し付けはもう古い。従業員を"顧客"と位置づけた DX で働き方を変革
従業員が時間や場所にとらわれず、自律的に行動する働き方=ABW(Activity Based Working)を導入している KADOKAWA。その取り組みを後押しすべく、DX を推進するのが KADOKAWA Connected だ。KADOKAWA といえばデジタル化にも積極的な企業という印象もあるが、業務の IT 化は部門や個人でばらつきが大きかった。2019 年 3 月に全社的に Google Workspace(当時は G Suite)を導入。マンガでその活用方法を伝え、浸透させていくなど、従業員に優しいアプローチで DX を推進している。

各務 茂雄 ( かがみ・しげお )

株式会社 KADOKAWA Connected 代表取締役社長

2018 年 6 月、カドカワ(現 KADOKAWA)のグループ CIO に着任。KADOKAWA、ドワンゴを含むグループ全体の IT 戦略を担当。2019 年 4 月より現職。KADOKAWA グループで運営するデジタルサービスの開発・運用や ICT コンサルティング、働き方改革支援、出版バリューチェーン改革を手がけ、KADOKAWA グループの経営改革を進める。

Google ドライブの使い勝手の良さが、移行の敷居を下げた
  • KADOKAWA グループは、出版、映像、ゲーム、Web サービス、教育、MD、コトビジネス、インバウンド関連などの幅広い事業を展開する総合エンターテインメント企業で、約7000 人の従業員を擁する。優れた IP(Intellectual Property)を安定的に創出するべく、グループ全体で働き方改革(ABW=Activity Based Working)を含めたデジタル トランスフォーメーションも推進し、その DX 推進役を果たすのが KADOKAWA Connected の代表取締役社長 各務茂雄氏だ。

    各務氏が KADOKAWA グループに加わったのが 2018 年。当時「いい意味でも、悪い意味でも人に依存する仕事のスタイルだ」と感じたという。

    「たとえば編集者はクリエイティビティが求められる分、個人の暗黙知で勝負する人が多く、だからこそいろいろなアイデアが出てくるんです。しかし DX を推進する上で欠かせないチーム型で仕事を進めるスタイルでは、暗黙知型の業務スタイルだと横連携ができません。個々を繋いで情報が共有されるようになれば、もっと良くなるはずだという印象を持ちました」(各務氏)

    さらに、当時は会議を設定するにもメールでスケジュールの確認をして日時を決めるということが日常で、会議に出席すれば資料が紙で配られることに衝撃を受けた。そこで各務氏は、会議ルールや IT ツール、報告・連絡・相談の決まりをつくる「コミュニケーション改革」から着手した。改革の最初の一歩として、グループ内約 7000 人のスケジュールを Google カレンダーで共有することでスケジュール調整にかかる時間の効率化を図った。

    自分のスケジュールを正確に把握し、人と共有し、スケジュール調整などに無駄な時間を使わなくなることで生産性も高まったという。また、Google ドライブの活用による資料共有の仕組みづくりを行うことで、会議のあり方も変わった。

    KADOKAWA グループは豊富なコンテンツを有するため、動画のアーカイブなどを含めると保持するデータ量は巨大なものになる。そのデータを何年もオンプレミスのファイルサーバーに残すことは難しい。アクセス速度、可用性、耐久性を考慮するとクラウドで管理できるストレージの使い勝手の良さは非常に魅力的なものだった。

    「さらに、Google ドライブ上の他社形式のファイルを Google ドキュメントや Google スライドで直接見たり編集したりでき、Google ドライブ ファイル ストリーム(現名称 パソコン版 Google ドライブ)によって、PC に保存されているデータと同じ感覚で扱える。他社ソフトからの移行の敷居を大きく下げてくれました」(各務氏)
文章ではなく 4 コママンガで使い方や機能を伝えた理由
  • Google Workspace の社内での活用浸透にあたって、各務氏は 「Customer Success チーム」を立ち上げた。「Customer Success」とは本来、企業が顧客を成功に導くサービスを提供する仕組みや部門を意味するマーケティング用語だ。ところが各務氏は、全従業員を実質的な顧客と位置づけたのだ。

    「Google Workspace を使ってくださいと言うだけでは、使ってもらうことはできません。だからこちらから使い方や機能をわかりやすく伝えて、実際に使ってもらえるよう働きかけることにしました」(各務氏)

    ツールを使うことを求めるのではなく、まずは便利さを実感してもらうことで、自ら選んでもらえるようなアプローチをとったのである。

    さらに Customer Success チームで取り組んだことは、Google Workspace の使い方を 4 コママンガで伝えることだ。いわゆる FAQ 的なものやおすすめの利用法などを、4 コママンガにまとめて社内 SNS に投稿したり、小冊子化したりして配布。これが絶大な効果を生んだ。とはいえ KADOKAWA の社風に合わせてマンガにしたわけではないという。

    「文章だと内容の緻密さや切り口、文章の硬さなどから読む人を限定してしまいます。その点、マンガは情報を細かく見ることも可能だし、見たくない箇所はスルーすることもできますから、読み手それぞれの"解像度"に合わせた受け取り方をしてもらえる。だからマンガが良いと思いました」(各務氏)

    KADOKAWA Connected 社内では、コミュニケーションにおける緻密さのレベルを"解像度"と呼んでいる。マンガは"解像度"のレベルを問わないという。

    4 コママンガは 2020 年の夏には 100 本以上が完成。2019 年の後半には役員を中心とした社内のキーパーソンが全ての ICT ツールを使いこなすようになり、グループ全体に徐々に浸透していったという。
©Yoji Kikumoto Kadokawa Connected, Motoko Watanabe Kadokawa Connected, Minori Kambe 2021
Photo: Tomooki Kengaku
チームワークのカギは、信頼の上に立つコミュニケーション
  • KADOKAWA は 2020 年 8 月、ABW の重要な拠点となる「所沢キャンパス」を、ところざわサクラタウン内に開設した。ここは 1000 人が同じフロアで働けるフリーアドレスのオフィス空間。Google Meet に対応したハードウェア設備が導入されていて、パソコンがなくてもボタン一つで会議に参加できる環境を整えている。

    「このプロジェクトも KADOKAWA Connected の重要な任務で本当に大仕事でした。コロナ禍で予定通りオープンに漕ぎつけられたのは、Google Meet などのツールを活用して社内外の関係者とコミュニケーションを途絶えさせなかったことで信頼関係を築き、信頼貯金を作れたことにありました」(各務氏)

    "信頼貯金"とは、スティーブン・R・コヴィー氏の著書『 7 つの習慣』の"信頼残高"からきているものだが、人との関係の中で生まれる信頼をためていくことで、相手からの信頼が大きくなるということを意味している。

    リモートワークによる信頼貯金の減少が課題になっているが、働き方が大きく変わった環境下でも、なるべく多くのコミュニケーションをとることで信頼貯金をためていくことはできると各務氏は語る。それによってハイコンテクストなコミュニケーションが可能になり、業務効率もあがりチームワークも良くなる。

    社内だけでなく社外のパートナーも含めて連携が必要な場合でも、安全かつ安心してコミュニケーションできる環境作りにチャレンジし続けている。
Google Workspace の活用で編集作業を効率化

藤本 絵里 ( ふじもと・えり ) =左

株式会社 KADOKAWA 出版事業グループ
ライフスタイル統括部 統括部長

菊本 洋司 ( きくもと・ようじ ) =右

株式会社 KADOKAWA Connected
Customer Success 部 部長

  • Google Workspace の機能や使い方を 4 コママンガで社内に伝える―そんな各務氏のアイデアを具現化したのが KADOKAWA Connected Customer Success 部長の菊本洋司氏だ。

    菊本氏は同僚の渡辺基子氏、 "MBA 漫画家"のかんべみのりさんと共に、ICT ツールを業務で活用するためのヒントをマンガ化し、社内 SNS で配信していたところ、KADOKAWA 出版事業グループ ライフスタイル統括部長の藤本絵里氏の目に留まった。

    「社内でも反応が良かったのですが、世の中で急に DX の話題が出始めたことで『一般のお客様にも需要があるかも』と思って出版の提案をしました」(藤本氏)

    その提案を菊本氏は、Google Workspace を駆使した本作りにトライする絶好のチャンスととらえ、まず編集者から台割やゲラの作り方や校正の仕方、原価計算など本作りを一通り学んだ。
  • その上で、1 .台割を Google スプレッドシートに替える、2 .本文の執筆を Google ドキュメントで行う、3 .校正作業は Google ドライブ上に置いたファイルにタブレットから直接赤入れをする、という大きく 3 つの方法をとることで、編集作業の効率化が図れると考えた。実際に、それぞれ従来は 1 人が作業し、紙に印刷して全員でチェックしていた作業だが、関係者全員で同時に確認・編集することで作業効率が上がり、時間短縮にもつながった。

    そして 2021 年 3 月に KADOKAWA より出版されたのが『効率よく働いて機嫌のいい職場にするために マンガでわかる!驚くほど仕事がはかどる IT ツール活用術』だ。

    菊本氏は「IT 導入には、現場の仕事の内容や流れを理解したうえで、ツール選定や標準化を行う必要を強く感じた」という。一方、藤本氏は「トライアルでやったことですが、台割の共有などを仕事に取り入れている部員もいます」と話す。便利な使い方に気づいた人が部内でその使い方を共有することで、Google Workspace を駆使した編集スタイルはすでに横展開が始まっているという。
研修をデジタル化、企画運営作業の削減のみではなく、受講者の自主性アップ

桃井 伸幸 ( ももい・のぶゆき ) =左

株式会社 KADOKAWA Connected
Customer Success 部

鈴木 寛子 ( すずき・ひろこ ) =右

株式会社 KADOKAWA
グループ人事局 人事企画部 人事企画課

  • KADOKAWA では現在、新人研修や ICT 研修のほぼ 100 %を、Google Meet を活用したオンラインで行っている。新人研修では最初に数日かけて Google Workspace の使い方をレクチャー。その後は、研修日程の確認や関連資料の入手、Google Meet への入室も Google カレンダーによる各自の自己管理に任せているという。

    研修後のアンケートも事務局からは Google フォームで提出する締め切り時間を伝えるだけ。「毎回資料を用意して配布したり、出席確認やアンケート回収をしたりする労力もなくなり、本当に作業は軽減されました」とグループ人事局人事企画課の鈴木寛子氏は語る。また、それ以上にこの形に変えてから、新人たちが各自でグループワークのためのGoogle Meet を設定するなど、研修に対しての自主性と内容に対しての理解度の高まりを感じたことが一番の効果であるという。
  • ICT 研修に使う資料も「各講師が同じ Google スライド上で自分のパートを作成します。以前は担当ごとにファイルを分けて作成し、順番に見ていき、アップデートする形をとっていましたが、Google Workspace を使うようになってからは、みんなで同時にコラボレーションしながら作業できるようになりました。変更点があって元に戻りたい時は変更履歴を見て戻れるので、ダイナミックにスピード感を持ってブラッシュアップしていくことができます」と語るのは、研修をサポートする KADOKAWA Connected Customer Success 部の桃井伸幸氏。

    こうしたドキュメント類は毎年、継続的に更新され、誰もが常に新しい情報にアクセスできる環境を維持しているという。
  • KADOKAWA では、グループ約 7000 人の従業員が Google Workspace を使いこなし、コラボレーションによるシナジーを生み出すために、KADOKAWA Connected がグループ内の"デジタル伝道師"としての役割を担い、DX を推進してきた。今や、グループ会社や部署の垣根を越えて、従業員同士がコラボレーションする土壌が醸成されつつある。

    KADOKAWA の DX 成功のポイントは、従業員一人ひとりを "顧客" と位置づける"優しいデジタル化"にある。従業員が時間や場所にとらわれず、自律的に行動する働き方=ABW によって、KADOKAWA はデジタル時代の新たなコンテンツリーダーとして、さらなる飛躍を遂げていくだろう。
Google Workspace
Google Workspace は、Google が提供するクラウド型のグループウェア。「Google Meet」や、メッセージやグループの会話などを行うコミュニケーション ツールとなる「Google Chat」 、他のツールが統合され強力な検索機能をもつ「Gmail」、チームで共有できる「Google カレンダー」、さまざまな形式のファイルを安全に保管、共有できる「Google ドライブ」、複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能な表計算アプリケーションの「Google スプレッドシート」、アンケート フォームが簡単に作成できる「Google フォーム」など、企業で必要なすべてのアプリケーションが揃う。共同作業がしやすく、組織の生産性を高めるとともに、新たなアイデアの創出を促す機能があり、生産性向上と柔軟な働き方を実現するコラボレーション ツール。
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