Google Workspace 導入事例 02 - 株式会社クボタ
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デジタル技術で人と人、業務プロセスがつながり、「持続的な変革の力」を生み出す
農業・水・環境分野のソリューション カンパニーとしてグローバルに事業を展開するクボタでは、2 年前にグローバル ICT 本部を設立。デジタル技術の活用による働き方改革を推進している。本社の業務プロセスを見直し、従業員それぞれが “人間にしかできない仕事” へシフトすることを念頭に DX を実行。全従業員に Google Workspace のフル活用を奨励した結果、コロナ禍でオフィス部門の在宅勤務率 8 割(最高時)を実現したほか、デジタル技術を活用した新しい事業モデルを続々と生み出している。
吉川 正人 ( よしかわ・まさと )
株式会社クボタ 取締役副社長執行役員 企画本部長 グローバル ICT 本部長
1981 年 久保田鉄工株式会社に入社(1990 年に株式会社クボタに社名変更)。
2012 年に執行役員に就任し、以後、米国子会社のクボタトラクタ―コーポレーション社長などを歴任。
従業員のムダな業務を減らし、イノベーティブな仕事に充てる
- クボタは数年前から「未来を見据えたイノベーションのための働き方」というテーマで働き方改革を推進している。
「一言で言えば、一般業務の生産性を向上させようということです」と語るのは、副社長の吉川正人氏だ。工場で日々、効率化を図っているのと同じように、一般業務の効率化を図るのが狙いだという。そこで多くのリソースを費やしている会議用資料や報告書類の作成、情報の伝達、データの加工・整理などはなるべく機械(=システム)に任せる方向で見直していった。
「人からムダな仕事を省き、その分をイノベーティブな仕事に関わる時間に充てる。つまり働き方改革とは、仕事自体を変える取り組みなのです」(吉川氏)
リモートワークの環境整備がコロナ禍で加速
- 働き方を見直すにあたって、以前から自社の DX 対応の遅れに危機感をもっていた吉川氏は、2019 年にグローバル ICT 本部を立ち上げ、自らが本部長に就任。強いリーダーシップを発揮し、2013 年度から社内に導入した Google Workspace の活用を徹底した。
中でも力を入れたのが、ビデオ会議ツール Google Meet を活用したリモートワークの環境整備である。2019 年秋から 2020 年 2 月にかけてパイロット的に在宅勤務の比率を上げる試みを行った。まさにそのタイミングで新型コロナウイルスの感染が拡大し、社員の多くが在宅勤務を余儀なくされた。
Google Meet は、専用アプリケーションをインストールする必要がなく、Web ブラウザを起動して Gmail、Google カレンダーなどから会議の設定や参加を行うことができる。また、セキュリティ性能に優れているため、ビジネス用途として注目されている。
- 「当初はネットワークのキャパシティが足りないなど若干の混乱もありましたが、事前の準備が功を奏して、本社業務に支障はありませんでした」(吉川氏)
現在、クボタ本社の在宅勤務率は 7 割、部門によっては 8 割を超える。Google カレンダー上に登録されている「会議」の予定のうち、Google Meet によるオンライン会議は 7 割に達している。リモートワークが当たり前になり、Google Chat や Google カレンダーなど他のツールの活用も一気に進んだ。
「仕事のスピードを定量的に測るのは難しいのですが、従業員一人あたり 5~10 %は生産性が上がっていると思います。2 年前に比べて仕事のやり方は相当変わりました」と吉川氏は手応えを感じている。
社内に拡がったリモートワークを今後、いかに根付かせるかがクボタにとって重要な課題だという。では、なぜリモートワークがそれほど重要なのか。
ソリューション ビジネス展開に不可欠なリモートワーク定着
- 現在、クボタの売り上げの 9 割は、農機や建機、プラント機器など、工場で作った製品で占める。だが、その製品は総じて寿命が長く 10 ~ 20 年、長いものなら 30 ~ 40 年と使用できる。そこで、販売した後も新しい顧客価値を提供するためのサービスに注力しており今はそのソリューションを開発している真っ最中だ。
顧客ニーズに応えるソリューションを提供するには、自社にはない技術やノウハウ、リソースを持つ他社との連携が必要になる。そして、その社外の人とチームを組み、グローバルでソリューションを提供するには、離れた場所にいる者同士がいつでもどこでもつながり、共同で仕事が進められる環境が不可欠だ。クボタがリモートワークの定着を目指す狙いはそこにある。
「もはや自分たちの持っている知見やリソースだけではやっていけないとの意識を、トップの北尾も含め経営陣は強く持っています。クボタは今、数十年にわたって積み上げてきたビジネスモデルの転換期にあります」と、吉川氏は語る。
DX の究極的な目的は「変革を持続する風土の醸成」
- クボタはすでにリモートによる他業種、関連企業との共同作業を推し進めている。たとえば昨年の秋には、インドの企業と合弁会社を設立し、現地にトラクターの量産ラインを立ち上げた。通常なら現地に複数の人を派遣し、長期間に渡って工程を管理しながら量産体制を立ち上げるのだが、新型コロナウイルス感染症の影響で現地に人を派遣できない。
「新生産ラインの至る所にカメラを付けて、その映像をもとに現地のパートナー企業とオンライン会議をしながら進めたところ、非常にうまくいきました」(吉川氏)
国内では、浄水場や下水処理場の故障時対応やプラントへ納入する機器の工場検査に、Google Meet と Meet on Glass を組み合わせたリモート システムを導入するなど、デジタル技術を活用した新しい事業モデルを次々と展開している。
「DX というのは、究極的には社内に変革する力を育成することだと私は考えています。デジタル技術で働き方を変え、生産性が上がった分をいかに会社の持続的なトランスフォーメーションにつなげられるか。そこが重要だと思います」(吉川氏)
リモートによる水環境プラントの故障時対応と工場検査を実現
竹久 和祥 ( たけひさ・かずよし )
株式会社クボタ 環境プラント品質保証部 品質保証課長
1995 年 株式会社クボタ入社。環境プラントの営業、企画等を経て 2019 年より、環境プラント事業の品質統括に従事する。
- クボタでは、2020 年末から Google Meet と Meet on Glass を組み合わせた、リモート システムによる故障時の緊急対応と、プラントへ納入する機器の工場検査を始めた。
これまで故障時にはまず技術者が現場に駆けつけ、応急処置を施した後、現場の写真を交えた報告書を提出。それをもとに社内で関係者が集まり、恒久対策を検討するという手順で進められていた。
しかしこのリモート システムによる取り組みにより、現場に急行した技術者が、Meet on Glass で現場の映像をリアルタイムで本社へ伝えられるようになり、「対応策がその場で検討できるため、状況把握と対策のスピードが格段に早まり、サービスレベルも向上しています」と、環境プラント品質保証部 品質保証課長の竹久和祥氏は言う。
また、今までの育成は OJT によるものが当たり前だったが、熟練技術者の作業を映像で記録できるので、若手への技能継承ツールとして活用できるメリットもある。
同部ではこのリモート システムをプラントへ納入する機器の工場検査にも導入。熟練技術者が検査の度に片道数時間から半日かけて協力工場まで往復する必要もなくなり、別の業務にあたることができるようになった。
「この方式が業界標準になるよう他社にも働きかけたいです」と、竹久氏は笑顔で語る。
建設機械の故障診断アプリをモンスターラボと共同開発
梅林 繁樹 ( うめばやし・しげき )
株式会社クボタ 建設機械サービス部
2007 年 株式会社クボタに入社。約 12 年間全世界のサービスマンに対して、サービス教育業務・サービス資料作成業務を担当。機械や各市場の特徴を理解して、2019 年より Kubota Diagnostics プロジェクトリーダー、2021 年より故障診断チームリーダーを担当。
- クボタは 2020 年 12 月、デジタル コンサルティング事業を展開するモンスターラボ社と共同で、AR(拡張現実)と 3D を活用し、建設機械の故障診断を効率化するアプリ「Kubota Diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)」を開発、アメリカでリリースした。
このアプリの開発に当たり、コロナ禍で会議や情報のやりとりのほとんどを Google Meet や Google Chat で行い、機密性の高い 3D データなどは Google ドライブでデータ共有しながら進めた。UI/UX に関わるビジュアル イメージも、Google Jamboard (デジタル ホワイトボード)を活用することで参加者が絵を描きながら固めていった。
アプリ開発過程の調査でアメリカのディーラー メカニックにアンケートを取る際も、以前は現地に出張してヒアリングしたものを手書きでまとめていたが、Google フォームを利用することで、簡単に作成送信できるようになった。またすぐに回答が戻り、集計も容易にでき大幅に効率化されたという。
- 「リモートだからこそメンバーとスピーディに連絡が取り合えました」と語るのは、プロジェクトリーダーの建設機械サービス部 梅林繁樹氏。たとえば、企画段階では、Google Jamboard や Google スプレッドシートを使って、メンバーがアイデアを次々と書き込んでいき、それに対するフィードバックも素早く寄せられ、スムーズに進んだ。
社内外のやり取りは、「気軽かつタイムリーにできる Google Chat を使いました」(梅林氏)。
早期のサービス化に向けてアジャイル開発の手法がとられ、スピーディな開発を実現する上では随所で Google Workspace が重要な役割を果たした。
アメリカで導入されたこのアプリ上では Google フォームを利用し、現場の改善や要望の声をダイレクトに収集できている。今後、他国での導入や、農機への応用を視野に入れながら、リモートによる共同開発をさらに進める方針だ。 - クボタでは、顧客ニーズに応えるソリューションを提供するため、国を越えた社内外でチームを組み、共同で仕事が進められる環境を Google Workspace を使って整備。デジタル技術を活用した新しい事業モデルを生み出している。
そこには、DX を単なるデジタル化ととらえずに “変革する力の育成” として、デジタル技術で働き方を変え、生産性が上がった分を持続的なトランスフォーメーションへつないでいくという、高い視座からの目的があった。地球規模での課題に取り組むクボタは、さらに未来を見据え、イノベーションに挑み続けている。
Google Workspace
Google Workspace は、Google が提供するクラウド型のグループウェア。「Google Meet」や、メッセージやグループの会話などを行うコミュニケーション ツールとなる「Google Chat」 、他のツールが統合され強力な検索機能をもつ「Gmail」、チームで共有できる「Google カレンダー」、さまざまな形式のファイルを安全に保管、共有できる「Google ドライブ」、複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能な表計算アプリケーションの「Google スプレッドシート」、アンケート フォームが簡単に作成できる「Google フォーム」など、企業で必要なすべてのアプリケーションが揃う。共同作業がしやすく、組織の生産性を高めるとともに、新たなアイデアの創出を促す機能があり、生産性向上と柔軟な働き方を実現するコラボレーション ツール。
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