サイバー先進国・中国で「キャッシュレス」「スマート社会」が終わった日(山谷 剛史) 突然、インターネットにつながらなくなり…

スマートフォンひとつで何でもできるネット先進国中国。その中国で、もしもインターネットがつながらなくなったらどうなるのか。ものすごい有事にでもならない限り起きえないと思ってましたが、オリンピックの直前にひっそりと起きていました。

内陸の河南省に、前例がないほどの豪雨

世界的に報じられる東京オリンピック開催直前、中国でもこれからメダルラッシュで国威発揚というタイミングで大災害に見舞われました。内陸の河南省を前例がないほどの豪雨が襲ったのです。

日本でも豪雨、カナダでも気温が50度近くとなるなど、世界各地で記録的な異常気象がおきましたが、河南省でも想定外の治水能力を越えた雨が降り、川は氾濫して道路の多くが冠水。トンネルや地下鉄車両にも命を奪いかねない大量の水が流れ込むなど、インターネットに投稿された動画は中国中で反響を呼びました。

以前に筆者が訪れたときの鄭州市新市街(筆者撮影)

河南省省都・鄭州市は、中国の他の省都と同様の大都市です。全体的に30~40階建てかそれ以上の高層建築が立ち並び、新しく区画整理したエリアは未来都市のような景観となっていて、都市内を幅広の幹線道路と地下鉄数路線が走っています。その街の雰囲気や便利さは、他の都市と同じで金太郎飴のようでもあります。路上でも地下鉄車内でも人々は歩きスマホ上等ですし、ましてや今アフターコロナの中国ではスマホアプリの移動記録が健康証明を兼ねていて、ますますスマートフォンは欠かせなくなっています。

その鄭州やその周辺の都市で記録的豪雨が降りました。新郷という都市が、鄭州以上に大変な状態だったとか。当時の中国のTwitterのような短文投稿サービス「微博(Weibo)」を見ると、道路の水深が2mを越えているというつぶやきも確認できます。

現地住民が「これまでに経験したことのない大災害」というほどの大雨の結果、河南省全体で死者302人、行方不明者50人、家屋被害3万戸、水没車両はEV(電気自動車)を含め41万台に。中国全体で見ても近年例のない大水害となってしまいました。もっともこうした中で、水没車両を安く買い取り、動ける状態に修理して、中古車として販売しようと中国全土から買い注文があるそうです。

さて気になった報道がありました。この豪雨の結果、ネットが利用できなくなった、という話題を見たのです。調べてみると微博で現地住民が口をそろえて「水道もない、電気もない、ネットもない」という状態とのこと。ネットが水害で使えなくなったのです。ただ、どうもガスだけは使えたようで、床上浸水した家でガスを使って調理する動画も見られました。