仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは『どうしても頑張れない人たち』(新潮新書)――。
悲しむ人
写真=iStock.com/Peerayot
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『ケーキの切れない非行少年たち』の続編となる本書

私たちの社会では、とかく「頑張ること」が評価されるのではないか。「頑張れば報われる」と叱咤激励され、自分でもそう信じて仕事や勉学に励む人は少なくない。

しかし、「頑張ろうと思っても頑張れない」「頑張ろうと思えない」人たちも、一定数いる。彼らはどうすれば頑張れるようになるのだろうか。

大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)の著者による、同書の続編でもある本書では、著者が支援に関わってきた非行少年をはじめとする「頑張ることができない人たち」がなぜ頑張れないのかを分析、彼らを正しく支援する心構えと方法を探る。

頑張れない原因としては、認知機能の弱さや、心理学者アブラハム・マズローが提唱した欲求の5段階説にある生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求/所属と愛の欲求、承認の欲求の4つのいずれか、あるいは複数が満たされていないことなどが考えられるという。

著者は立命館大学産業社会学部教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業し児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。医学博士、臨床心理士。

1.「頑張ったら支援する」の恐ろしさ
2.「頑張らなくていい」は本当か?
3.頑張ってもできない人たち
4.やる気を奪う言葉と間違った方法
5.それでも認められたい
6.支援者は何をどうすればいいのか
7.支援する人を支援せよ
8.“笑顔”と“ホスピタリティ”

医療少年院で出会った「既にやる気を失っている」子たち

子どもの頃から「努力すれば報われる」「やればできるんだから頑張りなさい」とよく聞かされてきました。今、人の親の立場になってみて、この言葉は子どもにやる気を出させようとする大人の浅はかな魂胆のような気がしています。

もちろん実際にやればできる子はいますし、そう言われてやる気が出て報われる子もいます。「やっても無駄」とネガティブに考えるよりはマシかもしれません。しかし、ここで言いたいのは、そもそも“やれない子”“頑張れない子”がいるということなのです。

私が以前勤務していた医療少年院は、そういった少年たちだらけでした。彼らは“頑張ってもできない”が子どもの頃から染みついていました。何度も何度も挫折を味わい、既にやる気を失っていて、もう頑張れないのです。

では、概してどういった人たちが頑張れないのでしょうか。真っ先に挙げられるのは、認知機能の弱さをもった人たちです。見る、聞く、想像するといった力が弱いため、いくら頑張っても入ってくる情報に歪みが生じてしまい、結果が不適切な方向に向いてしまうのです。