どうすれば昼食後の眠気を防ぐことができるのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「昼食前にコップ1杯程度の水を飲むといい。そうすることで、自律神経の急転換を防ぎ、疲れも眠気も防ぐことができる」という――。

※本稿は、小林弘幸『自律神経にいいこと超大全』(宝島社)の一部を再編集したものです。

机でうつ伏せになる女性
写真=iStock.com/PeopleImages
※写真はイメージです

昼食後に眠くなってしまうのはなぜなのか

昼食は、自律神経のバランスアップのために大事な中継ぎピッチャー。

とはいえ、あまり量をとり過ぎると、胃腸に負担がかかって疲れるし、さらに副交感神経が優位になり過ぎて、眠くなってしまう。私の周りでも、昼食後の打ち合わせや会議は、どうも眠くなって困るという声をよく耳にする。

学会などでも、午後になると、つい、うつらうつら、居眠りをしている人の姿を目にすることが多い。ちなみに、これは自慢というわけではないのだが、私は、午前、午後にかかわらず、どんなに退屈な会議でも居眠りしたことがない。

知人のドクターから「どうしたら、そんなふうに寝ないでいられるのか?」と聞かれることもある。なぜ、私がどんなに退屈な午後の会議でも、居眠りせずにいられるのか。それは、疲れない、眠くならない昼食のとり方をしているからだ。

昼食後、なんとなく頭がぼんやりしたり、疲れたり、体がだるくなる、あるいは睡魔に襲われて無性に眠くなってしまういちばんの原因は、副交感神経の働きが急激に活発になることである。

食事をすると胃腸が活発に動く。そうすると、胃腸に血流が集中して、頭に血が行かなくてぼうっとしてしまう。胃腸が動くことで、急激に副交感神経が優位な状態になる。クルマにたとえれば、アクセルではなく、ブレーキを思いきり踏んだ状態だ。眠くなるのは当たり前。

心身が急激に弛緩=リラックスの状態になってしまうからである。けれども、昼食をとる際、ほんのちょっと工夫をして副交感神経の働きの上がり具合をコントロールすれば、食後の疲れや眠気を抑えることが可能だ。