長女誕生後、2カ月の育休を取得し、掃除も皿洗いも読み聞かせもする前田晃平さん。それでも不十分という妻。十分やっているつもりの家事育児が「単なるつもりだった」と思い知ることになったあるデータとは――。

※本稿は前田晃平『パパの家庭進出がニッポンを変えるのだ!』(光文社)の一部を再編集したものです。

台所でカップを洗う男性の手元
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

復帰して「仕事の方が楽じゃねーか!」と思った

私にとって、2カ月間の育休期間は本当に幸せな時間でした。こんなにじっくり家族と時間を共有できたのは初めてですし、何より、娘の成長を間近で見守ることができました。この機会をくれた会社のみんなと制度に、心から感謝しています。

……なんだけど! この“幸せ”って、美味しいものを食べた時の「幸せ〜♥」とか、温泉に入った時の「幸せ……♨」とはまったくニュアンスが違うんです。

たとえるなら、新入社員として取り組んだ初の大仕事の後に感じた、あの幸せです。右も左もわからないけど、やることだけは山積み。顧客に叱られ、先輩に熱い指導を受け、半ベソかきながら深夜までがっつり作業。取り組んでいる最中はめっちゃツライ。もうほんとツライ。でも、絶対に成果を出してやろうと何日も徹夜で頑張り、終わってみればキツかったことも含めてみんな良い思い出……からの「幸せ(T_T)」みたいな。私にとっての育休は、まさにそんな感じでした。

もう本当に正直なところ、復帰した時は「仕事の方が楽じゃねーか……!」って思ったもん……。

妻との喧嘩が激増

何がそんなにツラかったのかと思い返すと、まあ色々ありましたが、大きかったのは妻との喧嘩(負け戦)の激増です。ただでさえカオスな新生児育児の現場で、唯一の相棒がたいていピリピリムードというのが、精神的にきつかった。

ある日買い物から帰宅すると、机の上に、読めば夫婦円満になるという噂の『夫のトリセツ』『妻のトリセツ』(講談社+α新書、黒川伊保子〈編〉著。押しも押されもせぬベストセラー。みんな、悩んでるんだな……)が置いてありました。育児のヘルプに来てくれていたお義母さんが、二人の険悪ムードを見るに見かねて買ってきてくださったのです。

まだ取得率わずか7%の男性育休を取ったうえ、(当人の主観では)本気で育児に向き合っているはずなのに、なぜ喧嘩が増えてしまうのか。この原因を解明すべく、我が家の喧嘩勃発の瞬間を分析してみたところ、だいたい妻のこのひとことで開戦していることが判明。

「なんでそういうことするの? ちょっと考えればわかるでしょ!」

私がよかれと思って言ったりやったり(あるいは、やらなかったり)することが、なぜか妻の地雷を踏み抜くという怪奇。でも、このひとことが飛び出した時は、“ちょっと”どころか、雑巾並みに知恵を絞っても、私には全然わからない。そしてこの「なんで怒られてるのかわからない」という態度が、事態をさらに悪化させます。

後で妻の機嫌が良くなった時に怒った理由を聞いてみると、「そりゃ僕が悪かった」と思う場合もあれば「え〜〜〜」って思う場合もありました。