副業やフリーランスなど、働き方の選択肢は増えている。しかし、人材育成の現場で5万人以上のビジネスパーソンと接してきた高橋浩一さんは、自由に働き方を選べるようになるためには、人から必要とされ「声がかかる」ようにならなくてはならないと指摘する――。

※本稿は、高橋浩一『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/vicnt
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選ぶ自由を得るための条件

書店に足を向ければ、自己啓発書のコーナーにたくさんの本が並んでいます。

「好きなことで生きていく」「ストレスのない人生」「不安や悩みから解放される人生」「やりたいことをやりなさい」……。

人生の自由を獲得することについて、心惹かれるキャッチコピーやいろいろなメッセージが飛び交っています。

しかし、働き方が多様になったメリットを享受するためには、一つの大きな前提があります。それは、「選択の自由度は、人から必要とされる(声がかかる)度合いに比例する」ということです。

選択肢が広がったのはいいことですが、仕事を依頼する側から「ぜひあなたに」という声がかからなくては、望む選択はできません。目の前の仕事で声がかかるようになって初めて、「選べる」人生が見えてくるのです。

「ぜひあなたに」という声がかかる人にとっては、働き方が多様になる動きは追い風です。一方で、すべての人が「選べる自由」を手に入れられるわけではありません。

選択肢を前にして、誰もが最初にぶつかる葛藤は、「生活のための収入を得る仕事と、未来に向けた種まきの活動とのバランスをどうとるか」ということです。

ここでは、面倒くさいからと思考停止して判断を放置したり、感情に流されたりするのではなく、戦略的に考える必要があります。

柱の持ち方の3タイプ

ここで、「働き方における柱の持ち方」について、大まかな3つのタイプをあげてみましょう。

①本業に集中:目の前の仕事に集中して成果を出したい

世の中ではいろいろ言われていても、やっぱり組織の中で働くことが好きだし、今の仕事が自分に合っているという人がいます。本業で成果をあげることを通じて会社に貢献していると考え、満ち足りている状態です。

他の柱が見えていても、目の前の本業に集中することが、将来の選択肢を増やすことにつながると思えていればこのタイプです。

②副業に挑戦:収入を少しでも増やしたい/新しいチャレンジをしてみたい

副業によって、収入のマイナス分を補填できることもあるでしょう。あるいは、副業が「新しい世界を覗く」きっかけになることもあります。

副業をやる時間的な負荷をおってでも、先々の人生の幅が広がると信じられるなら、副業に挑戦する価値は十分にあります。

③複業:いろいろやりたいが、どれも本業

一つの仕事や会社に縛られたくないという人がいます。好奇心旺盛で人付き合いの幅が広く、いろいろやっていることはどれも本業、と思っている人です。このタイプは、自分の興味関心に応じて、さまざまなことを経験し、活動の幅を広げていきます。

さて、今のあなたはどれにピンときますか。