仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは『ビジネスの未来』(プレジデント社)――。
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経済成長の停滞は悲観すべきことなのか

多くの先進国、とくに日本ではGDPを指標とした経済成長率の伸びが鈍化し、「停滞」「衰退」といった悲観的な言葉で、現代経済が語られることが多い。

だが、そうした状況は、本当に悲しんだり、恐れたりすべきものなのだろうか。むしろ、モノ不足や貧困が一定以上解決された現代は喜ぶべき時代ではないのか。

本書では、これまでの経済成長によって豊かになった現代社会を「高原」と表現し、もはや必要のない従来のビジネス=「経済成長のゲーム」を続けるのではなく、異なる価値観による「新しいゲーム」を始めるべきと説く。それは、人間が人間らしく生きられる「衝動」に基づく社会システムの構築であり、それを実現するために何をすべきかを、多角的に論じている。

さらに、経済合理性ではなく、アーティストのように「人間性に根ざした衝動」に基づく活動をするためには、UBI(ユニバーサル・ベーシック・インカム)のような社会制度が不可欠だという。

著者は、1970年生まれの独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。電通、ボストン コンサルティング グループ等で戦略策定、文化政策、組織開発などに従事してきた。ベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)など著書多数。

目次
1.私たちはどこにいるのか?
2.私たちはどこへ向かうのか?
3.私たちは何をするのか?

ビジネスは歴史的使命を終えつつある

ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか? 最初に結論を述べれば、答えはイエス。「ビジネスはその歴史的使命を終えつつある」ということになると思います。

私たちが過去200年にわたって連綿と続けてきた「経済とテクノロジーの力によって物質的貧困を社会からなくす」というミッションはすでに終了しています。この状況は昨今、しばしば「低成長」「停滞」「衰退」といったネガティブな言葉で表現されていますが、これは何ら悲しむべき状況ではありません。古代以来、私たち人類はつねに「生存を脅かされることのない物質的社会基盤の整備」という宿願を抱えていたわけですから、現在の状況は、それがやっと達成された、言うなれば「祝祭の高原」とでも表現されるべき状況です。

21世紀を生きる私たちに課せられた仕事は、過去のノスタルジーに引きずられて終了しつつある「経済成長」というゲームに不毛な延命・蘇生措置を施すことではなく、私たちが到達したこの「高原」をお互いに祝祭しつつ、「新しい活動」を通じて、この世界を「安全で便利で快適な(だけの)世界」から「真に豊かで生きるに値する社会」へと変成させていくことにあります。