仕事の視野を広げるには読書が一番だ。書籍のハイライトを3000字で紹介するサービス「SERENDIP」から、プレジデントオンライン向けの特選記事を紹介しよう。今回取り上げるのは『グレート・リセット』(日経ナショナルジオグラフィック社)だ――。
地球を両手で持ち太陽に向かって掲げるグラフィック
写真=iStock.com/ipopba
※写真はイメージです

著者は「ダボス会議」の創設者

世界中で猛威を振るい、巨大なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。いまだ収束の兆しも見えないコロナ禍は、わずかな期間に人々の生活様式をがらりと変えてしまった。

だが私たちは、この変化をチャンスと捉え、より良い方向に社会を変えていくこともできるのではないだろうか。

本書では、世界経済フォーラム(その年次総会が通称「ダボス会議」)を主宰するクラウス・シュワブ氏ら2人の著者が、新型コロナウイルスによるパンデミックが収束した後(アフターコロナ)に、どんな新しい世界が出現する可能性があるのかを描くとともに、私たちが大きく経済や社会を組み直す「グレート・リセット」をどのように行っていくべきかを論じている。

アフターコロナに世界が発展するためには、GDPの量的拡大を指標とするのではなく、すべての市民の幸福と地球の持続可能性を重視した政策が必要と説く。

著者のクラウス・シュワブ氏は、世界経済フォーラムの創設者で現在も会長を務める。ティエリ・マルレ氏は個人投資家で、オンラインメディア『マンスリー・バロメーター』の創設者兼代表。

目次
1.マクロリセット
2.ミクロリセット(産業と企業)
3.個人のリセット

経済をより公平で環境に優しい形に変えるチャンス

歴史を見ると、感染症は、グレート・リセット、国の経済や社会機構を組み直す大きな契機となってきた。今回のコロナ危機はそうではないと言えるだろうか?

新型コロナウイルス感染症によって多くのものが寸断されてしまった今、社会全体がここで一度立ち止まり、本当に価値があるものは何かを冷静に見つめ直す契機が訪れた。今こそ、経済をより公平で環境に優しい形に生まれ変わらせる制度の変更や、その方向に向かって加速できるようにする政策を選択するチャンスだ。

まず全世界の指導者が、この惑星全体とそこに住むすべての市民の幸福により重きを置き、それを実現することが優先すべき行動目標であるという考え方になる必要がある。

経済の発展状況をより正確に測定するには、GDPの他にどのような指標を加えるべきだろうか。経済にとって重要なのは、全体の規模だけでない。利益がどのように分配されているかという視点も大切だ。今日の格差社会の根深さを測る重要な指標は富の不平等であり、これをより体系的に追跡するべきだ。