発足から33年の「7社体制」が崩壊の危機にある

11月29日、国鉄民営化の生みの親、中曽根康弘元首相は101歳の生涯を閉じた。慢性的な赤字状態に陥り、職員のモラルも低下していた国鉄を分割民営化で再生させ、接遇やサービスを大きく改善させたことは、中曽根氏の功績として語り継がれている。

しかし、1987年に今の6つの地域別の旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社体制になってから、33年が経過した今、その体制が崩壊の危機に陥っている。その元凶がJR北海道とJR四国の経営問題だ。

「なんとしても支援継続をしてもらわないといけない」――。

夕張駅から出発したローカル列車
写真=iStock.com/Takashi Nakano
※写真はイメージです

これまで政府は、老朽化した鉄道設備の補修や車両の購入費などに充てる助成金の交付と無利子の資金貸し付けを実施してきた。その根拠となる国鉄清算事業団債務等処理法の適用延長交渉が大詰めを迎える中、JR北海道の幹部は官邸や霞が関に日参する。

JR北海道の鉄道事業は、売上高239億円で営業赤字が371億円

政府は2018年7月、相次ぐ事故や経営低迷に直面するJR北海道に対し、経営改善を求める異例の監督命令を出した。その履行を条件に、2019~2020年度の2年間を第1期集中改革期間として計約400億円の財政支援を決めた。

今回の支援継続は、来年度からの第2期集中改革期間(2021~2023年度)に向けたものだ。関連法の改正案を来年1月開会予定の通常国会に提出すべく、JR北海道の幹部は新型コロナウイルス感染拡大の中、「陳情」に走り回る。12月に入り、国交省との会議で支援継続の見通しとなったが、厳しい状況に変わりはない。

JR北海道の2020年9月中間決算は、売上高は前年同期比39.2%減の519億円、純損益は過去最悪の149億円の赤字(前期は3億円の赤字)だった。鉄道事業中心の単体では売上高239億円、営業赤字は371億円に膨らんだ。