地方都市の貧困問題は深刻だ。ノンフィクションライターの中村淳彦氏は「北関東は生活が成り立たないほど世帯収入が低い。地域には男尊女卑文化が根付いているため、一部では生活費を稼ぐための売春が日常化している」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、中村淳彦、藤井達夫『日本が壊れる前に 「貧困」の現場から見えるネオリベの構造』(亜紀書房)の一部を再編集したものです。

孤独な女性
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売春が日常生活の一環になっている

【中村淳彦(ノンフィクションライター)】北関東(茨城、栃木、群馬)はつながりがあって取材したのですけど、当然そんな深い話ではなくて、お母さんたちが普通に売春しているという話。PTAとか自治会とか、そういう公的な場所でも買春男の情報交換みたいなことをしていて、それが本当に一般化している。

ただし、お金があれば、そんなことはしないという大前提はありますね。

【藤井達夫(政治学者)】配分の問題なんです。世のなかにはお金持ちがたくさんいる。でも彼らがお金持ちになればなるほど、貧しいところには配分が滞り、北関東ではカラダを売らなきゃいけない女性が増えてしまう。

【中村】旦那の収入と、お母さんたちの最低賃金のパート収入では、貧困まではいかなくても貧乏から抜けだせない。そこに北関東が脈々と受け継いできた長男信仰や男尊女卑文化が重なって、女性たちが自発的な再分配として売春に手を染めているみたいな。

日常生活の一環に売春がはいっている印象で、悲壮感はまったくないです。

【藤井】働く場所が少ないのと、十分な生活を送れるだけの賃金を得られていないということですね。とすれば、実質的な賃金を上げるというのはやはり一つの手でしょうね。基本的にお金を持っていない、そのことが原因ですから。