最強の老化物質「AGEs」が体を破壊する

また、血糖値が異常に高い状態を「高血糖」といいますが、この状態を繰り返すことで、血管の老化が進行します。

血管の主要な材料は、たんぱく質です。血液中に多量のブドウ糖があふれている高血糖状態が繰り返されると、このブドウ糖と血管壁のたんぱく質が結びつき、「糖化」という現象を起こします。血管壁に糖化が起こると、酸化ストレスによって血管の働きが阻害されたり、組織に変性が起こったりすることから、動脈硬化が進行してしまうのです。

糖化反応で変性したたんぱく質は、「AGEs:エイジーイーズ(終末糖化産物)」と呼ばれます。

AGEsは血管だけでなく、体のあちこちで発生、蓄積され、酸化ストレスによって体内をどんどん老化させるやっかいものです。さらに、AGEsは血管壁の内部にも侵入し、そこに炎症を引き起こすことによって、動脈硬化の進行に拍車をかけることも分かっています。

「甘いもの好きほど、見た目が老ける」

AGEsが肌に発生すれば、肌のコラーゲンに変性を起こして弾力を失わせ、しわ、たるみがどんどんできる……という、ゾッとするようなことが起こります。血管の動脈硬化との相乗効果で激しく老化を加速させるのが、酸化と糖化。

池谷敏郎『老いは止められる』(エクスナレッジ)
池谷敏郎『老いは止められる』(エクスナレッジ)

「甘いもの好きほど、見た目が老ける」と心に刻んでおきたいものです。

また、AEGsの蓄積によってがんや認知症のリスクが上がるともいわれています。糖尿病のリスクを上げることについては、言わずもがなです。

血糖値スパイクや高血糖を起こさないためには、日常的に糖質が控えめな食事を心がける必要があります。何をどう食べると血糖値が上がりにくくなって、何が血糖値スパイクを起こすのか? それを頭に入れておくことは「老いを止める」ことに役立ちます。

具体的な食事法については拙著『老いは止められる』(エクスナレッジ)で紹介していますので、ぜひこちらも参考にしながら、脱・老化生活を始めてください。