2014年の創業時からほぼ全員リモートワークという企業がある。宮崎県西都市に本社のある株式会社キャスターでは、業務委託を含む約700人がリモートで働いている。首都圏と地方という居住地による給与差はなく、いま入社希望が殺到している。そんな会社が実現できた秘密を、取締役COOの石倉秀明氏が明かす──。(第1回/全3回)

※本稿は、石倉秀明『会社には行かない 6年やってわかった普通の人こそ評価されるリモートワークという働き方』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

700人のメンバーほぼ全員がリモートワークの会社

私が取締役を務める会社、株式会社キャスターでは、約700人のメンバーほぼ全員がリモートワークをしています。居住地もバラバラで、日本国内45都道府県、世界16カ国にわたります。

物珍しさもあって、これまでにさまざまなメディアから多数の取材依頼をいただき、テレビ番組でも紹介されるようになりました。

注目していただけるのは、率直に「ありがたいこと」だと思っています。ただ私自身は、キャスターが注目されればされるほど、内心モヤモヤした思いを抱えるようになっていきました。

自宅勤務する若いビジネスパーソン
写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです

限られた字数の記事や、限られた放送時間の番組では、どうしても「700人ほぼ全員リモートワーク」のインパクトばかりが強調されがちです。一方で、キャスターという会社がなぜこの体制を実現できているのか、その背景や本質はあまり伝わっていないのではないか……と。

「特殊な存在」でも「特別な会社」では全くない

約700人のメンバーほぼ全員がリモートワークだという会社は、現在の日本企業の中で特殊な存在であることは事実でしょう。

しかし、メディアの断片的な情報をもとに、キャスターに対して「特別な人たちが集まる特別な会社」「ほかの会社が真似できることではないよね」という印象を抱いているとしたら、明確に否定したいと思います。

なぜならキャスターは、ごくごく普通の経歴の人たちが集まり、成果を出し合って成長してきた会社だからです。