第2の職場のリタイアを控えた女性(68)は、息子(44)と同居している。息子は約10年前に勤務先が倒産。簿記の資格を持っていたことから、「俺は税理士になって、開業する」といって資格取得を目指したが、10年間結果が出ていない。ファイナンシャルプランナーには「このままでは84歳の頃には生活ができなくなる」と忠告されたが――。
ベッドに寝転んでノートパソコンを開きインターネットをしている
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実家の母へ娘が経済的援助を続ける理由は「兄が同居しているから」

都内在住の女性(42)から、地方にある実家の家計について相談がありました。

実家は、第2の職場をそろそろリタイアする母(68)と、失業して10年たった兄(44)の二人暮らしです。年金も貯えもあり、母一人なら老後も何とかなるはずですが、母の退職後は兄との暮らしが破綻するのではないかと心配になってきたそうです。

女性は結婚していて、夫(46)と小学生の子ども2人と暮らしています。パート勤めではあるものの、薬剤師のため時給は高めでしっかり自分のお金を持っています。その中から、盆暮れには母にいくらかを渡して援助してきたのですが、上の子ども(小6)が私立中学を受験することになったので、今後はこれまでと同じような援助はできそうもありません。

夫の定年時に下の子(小2)が大学を卒業するので、自分たち夫婦の老後生活費の準備を考えると、教育費の負担が終わったとしても実家にお金を融通することは難しい状況です。これまで夫からは何も言われていませんが、そろそろ夫の目も気になってきました。実家への援助は数年間の限定だと思っていたのに、すでに10年もたってしまったからです。

兄と自分が小学生の頃に両親は離婚。子ども二人を女手一つで育ててくれた大切な母への援助はあたりまえのことで、数年間であれば大きな負担感もなく、迷いはありませんでした。自分の稼ぎから援助できることがうれしくもありました。

けれど、援助開始から10年がたち、女性は先の見えない不安を抱き始めています。後日、お母さまにも同席してもらって詳細をうかがいました。

母ひとりの老後なら大丈夫だが、兄もいるので家計破綻のリスク

家族の情報は次のとおりです。

【家族構成】
母:68、定年退職後の再就職先で勤務中
兄:44、男性、無職
妹(相談者):42、結婚して夫と子ども2人、パート勤務、上の子が私立中学受験予定
父:兄妹が小学生の頃に母と離婚、交流なし
【資産状況】
自宅:分譲マンション、離婚時の財産分与で母名義に
預貯金 母:1200万円
兄:不明だが、持っているとしても10万円程度と推測
【家計状況】
収入 母:給料180万円(2年後に退職勧奨ありそう)、年金144万円、
個人年金60万円(7年後まで)
兄:1カ月あたりのアルバイト収入は数万円程度、家計には入れない
支出:336万円(月平均28万円)